有機酸を添加した低食塩ピックルによる豚肉の塩せき
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概要
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食肉製品の製造工程で用いる塩せき用ピックルの食塩含有率を5%と低くし,その代わりに防腐効果を有する有機酸を添加して,塩せきした豚肉の品質に対する影響を調べた,豚ロース肉を厚さ5cmの輪切りにして,1〜4°Cのピックルに3週間塩せきした,ピックルは,実験1では乳酸を加えてpHを2.0から3.5までの間の4段階に調整した,実験2では乳酸,酢酸またはくえん酸を加えてpHを2.5に調整し,またpHを調整しない対照区を設けた.その結果,実験1では,ピックルpHは1週目に各区の平均で2上昇した.塩せきした豚肉のpHは,ピックルpHの最も低い区(pH 2.0区)で1週目以後4.7〜4.4まで下降したのを除き,実験開始時から3週目までほとんど変動がなく,約5.5であった.豚肉の保水力は,豚肉のpHの変化とほぼ同じパターンを示した.豚肉とピックルのVBN含有率から判断して,いずれの区も腐敗の兆候は認められなかった.実験2の結果は,塩せきした豚肉の肉塊表面における筋原線維収縮率が,ピックルに酸を加えないものに次いで,乳酸を加えたもので高い値を示した.その他の諸特性に関しては,酢酸を加えたもののみが他と異なってpH (ピックル,豚肉とも)は低く,保水力も低くなった.一方ピックルに酸を加えないもののみで細菌の増殖が観察された.以上の結果から,低食塩ピックルに乳酸を添加することが,肉質に与える影響が最も小さく,腐敗の抑制にも有効であった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
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中村 誠
石川県農業短期大学畜産物利用学研究室
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加藤 啓介
石川県農業短期大学畜産物利用学研究室
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宇佐川 智也
石川県農業短期大学家畜管理学研究室
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宇佐川 智也
石川県農業短期大学
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宇佐川 智也
石川県農業短期大学付属経営農場
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