数種の食物繊維と乳酸の添加が低食塩豚肉パティの諸性状に及ぼす影響 : とくに筋原繊維収縮率について
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概要
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食肉製品の食塩含有率を減らすこと,ならびに減塩食肉製品の保存性を維持するために有機酸を加えることは,共に食肉の加工適性の低下を来す。これに食物繊維を加えることによって好ましい効果を期待できないかどうかを検討した。豚肉からロースを切り出し挽肉にして1.5%の食塩を加えた。これに食物繊維の中から寒天,コンニャクマンナン,セルロース,干シイタケをいずれも粉末状で5%加えた。さらに乳酸を0.2%加えた。同時に食物繊維あるいは乳酸を加えない区を設けた。こうして試料を調製した直後と25℃で1週間貯蔵後に分析に供した。その結果,保水力はコンニャクマンナン,寒天,およびシイタケを添加した区で対照区より大きかったが,なかでもコンニャクマンナンと寒天の両区で対照区より有意に大きかったのは添加したこれらの食物繊維がゲルを形成したことが保水力増大に有効に働いた結果であろう。一方保水力は,25℃1週間の貯蔵で有意に低下し,乳酸の添加によっても有意に低下した。筋原繊維収縮率は,乳酸の添加によって,また25℃1週間の貯蔵によって有意に低下したが,シイタケ,寒天あるいはコンニャクマンナンを添加した場合はその低下がいちじるしく抑えられた。これらの食物繊維中の何が筋原繊維収縮性の維持に有効であるのか,今後の研究に待たねばならない。さらに上に述べた食物繊維添加による保水力の増大は,食物繊維自体が保水力を発揮していることによるのか,あるいは筋原繊維収縮性に見られたように筋肉蛋白質に対する食物繊維の影響がここにもあるのか,興味ある問題である。
- 石川県農業短期大学の論文
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