黒毛和種の成長および飼料利用性に関する遺伝率のREML推定

概要

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1974年から1986年にかけて,382頭の雄牛と3,031頭の雌牛との交配により生まれた黒毛和種種雄候補牛3,759頭の直接検定記録を用いた.これらのデータは11の県畜産試験場から得られたものである.いずれの検定雄牛に対しても(社)全国和牛登録協会の産肉能力検定規定による標準飼養管理が行なわれた.分析対象形質は,終了時体重(FWT),1日当り平均増体重(ADG),濃厚飼料摂取量(CON),粗飼料摂取量(ROU),粗飼料摂取率(RAT), DCP要求率(DCP), TDN要求率(TDN)である.遺伝率は,REML法およびHENDERSONS Method IIIにより推定された.REML法による遺伝率推定値は遺伝率の初期値が0.01から0.99までのいずれの値であっても最終的には同じ値に収束することが分かった.しかしその収束値に初期値が近ければ,収束値を得るまでの反復回数は減少するようであった.REML法による推定値はまた分析に用いられた血統情報量に明らかに影響された.2世代までの血統を遡ることで最適な遺伝率推定値が得られるようであった.HENDERSONSMethod IIIに比べREML法による遺伝率推定値は高い値が得られた.REML法を用いて得られた遺伝率の平均値は0.63 (FWT), 0.28 (ADG), 0.32 (CON), 0.25 (ROU), 0.18 (RAT), 0.17(DCP), 0.18 (TDN)であった.
社団法人日本畜産学会の論文