牛乳中のクエン酸含量の変動について
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概要
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牛乳中のクエン酸含量の変動が,季節的因子によるものか,あるいは泌乳期によるものなのか,従来これらについて相反する結果が報告されている.そこで著者らは,同一条件で飼育した5頭のホルスーイン乳牛を用いて,この点について3年間継続実験を行なった.その結果は次の通りである.1. 約500試料による常乳中のクエン酸とカルシウム含量の年間平均値は,それぞれ,0.139〜0.147%,130.33〜135.23mg/100mlの範囲であった.2. 初乳中のクエン酸とカルシウム含量は,それぞれ特徴ある増減を示した.即ちクエン酸は分娩直後は低く,4〜5日目に最高値となり,ついで順次低下して常乳の含量にもどる傾向を示したが,一方カルシウムは分娩直後が最高で,2日目から急激に低下して,その後徐々に常乳含量にもどる傾向を示した.3. 牛乳中のクエン酸含量の変動は,正常な乳牛の場合,泌乳期によって影響を受け,泌乳初期に高く,泌乳が進むにつれて低下してゆくことが判明した.このことから,従来報告されている,季節的な影響は受けないものと考えられる.4. 牛乳中のクエン酸含量は,乳牛の生理的状態によっても左右され,乳質とクエン酸含量とは高い相関をもっていることが推定できた.5. カルシウム含量の変動は従来の報告と一致し,泌乳初期にやや高く,4〜5週間で減少してそのまま推移し,泌乳期後半から増加し,末期には最高値になる傾向を示した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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