カゼインミセルの形態に関する研究 : III.尿素およびアセトァミドの影響
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概要
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透析乳清に分散させたカゼインミセルに尿素およびアセトアミドの0.001〜4.0Mを各々単独に添加し,カゼインミセルの水素結合を切断した時の形態変化を追求した.上記の方法で処理したカゼインは,超遠心分離(100,000×g,20°Cで30分)にょり処理し,遊離してきたカゼイン成分はPolyacrylamide gel disc電気泳動により確認を行なった,一方,カゼインミセルの形態変化については,電子顕微鏡観察により追求を行なった.その結果,1) 尿素およびアセトアミド添加カゼインミセルから遊離したカゼイン成分は,β-カゼインが多くαs-およびκ-カゼインはわずかであった.2) カゼインミセルに0.025M尿素を添加し電子顕微鏡により観察を行なったところ,カゼインミセル表面の崩壊と崩壊に催ない遊離してきたカゼインが,ミセル周囲およびバックグラウンドに観察された.0.5Mから1.0M尿素では,カゼインミセル表面の隆起が観察された.2.0M尿素では,10〜40mμの微粒子が観察された。したがって,この時のカゼインミセルの大部分は崩壊寸前にあると考えられる.4.0M尿素では,ミセルの大部分は崩壊しており,パックグラウンドには多くの微粒子が観察された.3) カゼインミセルにおよぼすアセトアミドの影響を電子顕微鏡で観察を行なったところ,0.005Mから0.023Mアセトアミドでは,カゼインミセルの表面に隆起が観察された.0.25および0.5Mアセトアミドでは,カゼインミセル表面の隆起とバックグラウンドには,10〜40mμの微粒子が観察された.1.0Mアセトアミドではカゼインミセル表面が不鮮明となった.一方,バックグラゥンドは荒れていたが,10〜50mμの微粒子が僅かに観察された.2.0Mアセトアミドでは,1.0Mアセトアミドと同様に観察されたが,カゼインミセルは崩壊寸前であった.4.0Mアセトアミドでは,カゼインミセルからの微粒カゼインは消失し,種々なサイズの微粒子が集合しているのを観察した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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