ラット子宮粘膜上皮細胞質突起の走査型電子顕微鏡学的研究:卵巣摘出ラットにおける卵巣ホルモン投与の影響

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受精卵の着床時における子宮粘膜上皮細胞の役割と子宮粘膜上皮細胞の表面に出現する細胞質突起に対する卵巣ホルモンの役割を明らかにするために,卵巣摘出ラットにプロジェステロンとエストロジェンを投与して,子宮粘膜上皮細胞表面の細胞質突起の出現とその数,大きさおよび形状について走査型電子顕微鏡を用いて経時的に観察を行なった.両側卵巣摘出後,ホルモン無処理の動物およびエストロンのみ投与の動物ではまったく細胞質突起は出現しない.しかし,プロジェステロンの連続投与によって細胞質突起が出現し,さらにエストロンを投与することによって,投与6時間後に有意にその数は増加し,18時間まで数は変化しないが,24時間あるいは48時間後にその数は減少する.細胞質突起の形状は一般に水胞状を呈するものが多いが,エストロン投与後12時間ではロゼット形成をしているものが多く,24ないし48時間では粘膜上皮細胞表面の粗造化によって,細胞質突起の形状は不鮮明となる.エストロン投与12時間後に子宮に物理的刺激を加えるとその6時間後の子宮粘膜上皮細胞表面の形態は変化し,細胞質突起は急激に減少する.これらの結果は,子宮粘膜上皮細胞表面の細胞質突起が卵巣ホルモン,すなわちプロジェステロンとエストロジェンの協同作用によって出現することを示している.また,子宮粘膜上皮表面に多くの細胞質突起が出現しているとぎに子宮に物理的刺激を与えると細胞質突起は急速に消失することから,この細胞質突起は子宮の脱落膜形成に関与しているものと考えられる.
社団法人日本畜産学会の論文

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