豚Sperm Coating Antigenの物理化学的および免疫学的性質について
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概要
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著者らは,豚Sperm Coating Antigen(SCA)の物理化学的および免疫学的性質を追求するため電気泳動法,ゲル〓過法および寒天内沈降反応を用いて検討した.SCAはHUNTERの方法に基づいて豚精漿から抽出し,物理化学的性質の検討は,ベロナール緩衝液(pH8.6μ=0.05)を用いた〓紙電気泳動法と,ゲルを0.005M水酸化リチウム-0.191Mホウ酸緩衝液(pH7.5)で作り,電極槽に0.028Mトリス-0.008Mクェン酸緩衝液(pH7.5)を入れた泳動とゲルおよび電極槽にギ酸-酢酸緩衝液(pH1.7)を使用した澱粉ゲル電気泳動法を実施した.さらに,Sephadex G-25とG-200を用いたゲル〓過法を行ない3mlずつの溶出液を集めて280mμの分光光度計で蛋白価を測定した.免疫学的検討は,SCAにフロインドの完全補助物質をつけて2頭のウサギに免疫し,3週後にSCA抗血清を得た.この抗血清と,SCA,20%精子懸濁液,精漿,精巣上体精子,射出精子とを組合せて寒天内沈降反応を実施した.さらに,SCAを免疫したウサギの精巣を殺処分後直ちに採り出し,切片を作りH-E染色およびPAS染色して精子形成阻害について検討した. その結果,抽出したSCAは〓紙電気泳動法で同時に泳動した血清のβ-分画に相当し,澱粉ゲル電気泳動法では,精漿を構成している1部の蛋白成分より成立っていることが認められた.ゲル〓過法では,SCAは2つの分画に分けられ,精巣および精巣上体に由来する分画と精のう液に由来する分画と考えられた.寒天内沈降反応から,SCAは精のう液と共通な抗原系をもち,精巣とは一部共通な抗原系が認められた.なお,SCA免疫ウサギに精子形成阻害は認められなかった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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