過排卵処理された成熟ラットの受精卵の発育に及ぼす卵巣摘出とプロジエステロン投与の影響
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概要
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PMSG 50IUとHCG 50IUを併用して過排卵を誘起させたラットの交配後の受精率ならびに受精卵の発育に及ぼす卵巣摘出の影響について調べ,自然排卵によって妊娠した対照群のラットの成績と比較した.過排卵処理されたラットの排卵率は100%で平均排卵数は29.5±1.2個を示し,自然排卵数11.6±1.4個の約2.5倍であった.これらのラットは全例が雄と交配し,妊娠1日目の午前10時30分から12時における前核形成率は90.6%で,対照群の92.6%との間に有意差はみられなかった.過排卵処理群では,妊娠1,2および3日目に卵巣を摘出した後,プロジェステロンを投与された妊娠5日目のラット子宮からの潅流胚数は対照群にくらべて有意に多かった.胚の回収率は処理群では33.3〜43.2%,対照群では26.2〜41.5%でほとんど差はなかったが,両群の無手術の動物ではそれぞれ21.7%と66.7%を示し,過排卵処理群では卵巣摘出によって回収率が高まり,対照群では低くなった.潅流によって得られた胚の多くは胚盤胞へ発生していたが,処理群と対照群の無手術のラットでは,透明帯の消失率と胚盤胞の大きさに有意の差が認められた.また,過排卵処理された全ての動物の卵巣に胞状卵胞が認められた.これらの結果から,PMSGとHCGの併用によって過排卵処理されたラットの卵巣は,妊娠初期の生殖道内での胚の発生と生存に悪影響を与えていることが示唆さなた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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