雄ヤギにおける精漿中インヒビン活性,精液性状および内分泌状況の季節的変動
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概要
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2頭の雄ヤギを用いて,精漿中インヒビン活性をin vitroアッセイにより1年間にわたって測定し,その変化と精液性状や内分泌状況との関係を検討した.半月毎に採取した精漿中のインヒビン活性は,夏に上昇し(P<0.05),初秋には減少した(P<0.05).血中FSH濃度は夏にピークを示し(P<0.01),初秋には低下して(P<0.01),以後低レベルを維持した.各個体において,血中FSH濃度と精漿中インヒビン活性の変動の間に正の相関がみられた(r=0.472およびr=4.438;P<0.05).さらに,精漿中インヒビン活性と総射出精子数の間にも,2頭中1頭において正の相関がみられた(r=0.436:P<0.05).また,LHのパルス状分泌パターンも季節的に変動した(P<0.05).すなわち,夏にはパルスの振幅が大きく,秋には振幅は小さいが頻度が多く,冬にはほとんど不活型を示した。各季節において6時間の観察中,LHとLSHのパルスのピークはほとんど一致していた.血中テストステロン濃度は夏に上昇を始め,秋にはプラトーに達し,冬には基底植にまで低下した(P<0.05).以上の結果より,夏の精漿中インヒビン活性の上昇は,雄ヤギでは特徴的な現象であることが確かめられた.この夏のインヒビン活性の上昇は,血中FSH濃度が夏に上昇することと深い関係があるように思われた.これは雄ヤギにおいて,上昇した血中FSH濃度が,精巣でのインヒビン生産を刺激する可能性を示唆するものと考えられた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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