豚筋肉および肝臓リソゾーム画分の脂質分解酵素活性について
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概要
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豚の筋肉および肝臓中の脂質分解酵素の天然脂質およびトリグリセライドに対する作用について比較検討した.豚の筋肉および肝臓ホモジネートを遠心分画し,脂質分解酵素活性の細胞内分布についてオリーブ油を基質として測定した結果,筋肉および肝臓とも,リソゾーム画分に最も高い比活性のあることが認められ,その際の肝臓リソゾーム画分の比活性値は筋肉のそれより高く,約6倍であった.筋肉および肝臓リソゾーム画分中の酵素の至適pHは,用いたすべての基質について4.5であった.また,ラードおよびオリーブ油を基質とした時,筋肉および肝臓リソゾーム画分中の酵素の至適温度は,ともに50°Cであった,筋肉および肝臓リソゾーム画分の酵素活性に対する各種試薬(阻害剤または促進剤として通常用いられるもの)の作用について実験したところ,両者の試薬に対する反応はほぼ同じ傾向を示した.また,筋肉および肝臓リソゾーム画分の酵素はC18酸の場合,飽和脂肪酸からなるトリグリセライドよりも不飽和脂肪酸からなるトリグリセライドをよく分解すること,および両酵素による各基質の分解性は同じ傾向であることが認められた.前記の結果より,筋肉リソゾーム画分の脂質分解酵素は,比活性の強さに差はあるものの,その性質において肝臓リソゾーム画分のそれに類似しているものと考えられた.筋肉および肝臓リソゾーム画分の酵素は,貯蔵温度,期間また比活性の差などにより分解速度は異なるものの,4°Cではもちろん,-10°C〜-20°Cで少なくも10日間はラードを分解すること,特に肝臓リソゾーム画分は,-34°Cでも10日以後,わずかながら60日まで作用することが認められた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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