虚血性心疾患における血漿 fibulin-1 の変化
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概要
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Fibulin-1は血漿や結合組織に存在する細胞外マトリクス蛋白質である. 血漿中での働きは明らかでないが, fibrinogenと結合することや, fibrinへの取り込みが認められており, 血栓形成への関与が示唆されている. 生体内でのfibulin-1の機能を解明する糸口として血漿fibulin-1濃度測定系を組み立て, 種々の疾患群において検討した. 健常成人16例, 外来通院中の安定狭心症 (s-AP) 32例, 不安定狭心症 (u-AP) 17例, 急性心筋梗塞 (AMI) 14例, 播種性血管内凝固症候群 (DIC) 11例, PT延長をみとめる肝疾患7例の血漿中fibulin-1の濃度を測定した. 測定は, fibulin-1に対するモノクローナル抗体とポリクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA法を用いた. 本測定は基礎的検討において, 同時再現性はCV 2.5%から3.1%, 日差再現性はCV 6.1%から7.1%と良好であった. 臨床的検討としては, 健常成人群の血漿中Fibulin-1の濃度33.2±11.4μg/ml (mean±SD) に対して, u-AP群19.7±5.6μg/ml, AMI群16.4±4.9μg/mlと有意に低値であった (p<0.01) が, その他の疾患群で差異はみられなかった. u-APやAMIのような急性冠症候群の際には粥状硬化領域への血中fibulin-1の移行や病変部位での代謝の亢進, fibulin-1産生細胞の変化などが推定された. 今後, fibulin-1の組織中での動態を含め, 動脈硬化の危険因子もつ各種病態の血中fibulin-1のさらなる検討が必要である.
- 日本血栓止血学会の論文
- 2001-04-01
著者
-
福武 勝幸
東京医科大学臨床検査医学講座
-
新井 盛夫
東京医科大学臨床病理学教室
-
新井 盛夫
ノボノルディスクファーマ(株)止血開発企画部
-
川田 和秀
東京医科大学 臨床検査医学科
-
田中 朝志
東京医科大学八王子医療センター輸血部
-
新井 盛夫
東京医科大学臨床検査医学講座
-
ARGRAVES W.
Cell Biology and Anatomy Department, Medical University of South Carolina
-
田中 朝志
東京医大八王子医療センター輸血部
-
福武 勝幸
東京医科大学
-
田中 朝志
東京医科大学八王子医療センター 臨床検査医学科・輸血部
-
田中 朝志
東京医科大学八王子医療センター臨床検査医学科
-
田中 朝志
東京医科大学臨床病理学教室
-
新井 盛大
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 開発本部
-
Argraves W.
Cell Biology And Anatomy Department Medical University Of South Carolina
-
田中 朝志
東京医科大学八王子医療センター
-
新井 盛夫
東京医科大学 臨床検査医学講座
-
新井 盛夫
東京医科大学 臨床検査医学
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