ヒトミルクオリゴ糖によるビフィズス菌増殖促進作用の分子機構
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概要
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新生児腸管でのビフィズス菌主体の菌叢形成は乳児の感染防御に重要である。母乳栄養乳児のビフィズス菌の腸内定着が乳児の健康維持に重要であると認識された。母乳にはラクトース以外に三糖以上のオリゴ糖の混合物であるヒトミルクオリゴ糖(HMOs)を10-20g/L含んでいる。牛乳(ウシ常乳)にはラクトース以外の糖はほとんど含まれていないため,牛乳ベースの人工乳にはHMOsに相当する成分が含まれていない。プレバイオティクスオリゴ糖はビフィズス菌や乳酸菌などに選択的に資化されることにより機能を発揮する。現在の人工乳にはプレバイオティックオリゴ糖が添加されており,人工栄養乳児腸管にもビフィズス菌が定着することにより健康上の問題はほぼ解決されている。しかしながら,現在でも母乳栄養乳児と人工栄養乳児での腸内でのビフィズス菌の定着速度には差が見られており,母乳中のビフィズス因子の理解は未だ重要な課題として残されている。最近明らかになったビフィズス菌のHMOsの代謝経路を中心にビフィズス菌増殖促進作用の分子機構についての理解の現状について述べる。
- 2012-08-00
著者
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