ケンサキイカの熟練的品質評価の解析とモデル化に関する基礎的研究

概要

論文の詳細を見る
経験豊富な魚市場の競り人は水産物の鮮度を魚体体色や目の濁りなどの外観から素早く判断し、その価値に見合った評価を下す。そこで、食品として水産物の摂取可能性を判定する際には視覚が重要な役割を果たすと考えられる。即ち、鮮魚の外観は他の品質因子と同様に商品価値を決定するものとみなせる。よって、水産物の流通に関わる熟練者の知見は、特に鮮度等の品質の迅速な評価や管理のうえで有用となる。しかし、近年では厳しい労働環境が起因して若年漁業従業者数は減少の傾向にあり、知識の継承と技術水準の維持は困難なものとなっている。水産物をおいしくかつ安全に消費者の手に届けるためにも、知識の継承と技術水準の維持・向上の観点に立った対策を講じることは極めて重要なことであると考える。魚市場で即座に鮮魚の品質を見定めることができる競り人の知識に着目し、この熟練的手法を取り入れた水産物の品質評価システムを構築することを目指した。本報では、（1）山口県沖の日本海で漁獲量が多いこと、（2）一般的な魚類の色素細胞と異なり頭足類の色素胞では単独の細胞ではなく、色素嚢、放射筋、それらを取り巻く衛生細胞などからなる組織であること、（3）これらの組織が漁獲後の取り扱いや保存条件、経過時間などにより発現の挙動に大きく影響されることを考慮し、対象魚をケンサキイカに定めた。著者らはこれまでに、魚市場の競り人の品質評価カテゴリーと魚体体表の色彩及び色素胞の発現状態との関係を統計的手法を用いて解析し、ファジィ推論を用いてモデル化を試みてきた。その後、シミュレーションと評価実験を行いモデルの有用性について確認したのでその結果について報告する。
水産大学校の論文
2008-03-00

ケンサキイカの熟練的品質評価の解析とモデル化に関する基礎的研究

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク