小学校における組織協働化の実践的課題と展望―管理職経験者に対するインタビュー調査を通して―
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概要
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学校組織や教員が抱える協働課題やその背景を見出すために,大阪府下の管理職経験者に対してインタビュー調査を行った。そのデータをグラウンデッド・セオリー・アプローチに基づいて分析した結果,学校組織は大きく「価値観の多様性」,「システム不全」,「人事課題」という協働課題を抱え,「共通理解の構築」,「機能的組織設計」,「人材育成」という対応を図っていることが見出された。一方教員は「協調性の課題」,「指導力の課題」,「精神的な課題」,「資質の課題」を抱える可能性があり,そのような教員に対しては,「活用」,「育成」,「支援」,「見極め」という対応が取られることが明らかになった。これらの結果は,従来からの疎結合構造論の視野に入ってこなかった日本的組織特性の存在,すなわち個々の教員が能力や経験年数に基づく縦の関係の中でジェネラリストとしての成長が求められていくという組織の特性を示唆している。最後にこれらの結果を前提にした組織協働化の今度の在り方を考察した。In order to clarify the threats to collaborative works among teachers, we made an interview study with 6 incumbent or retired school administrators of elementary schools. The data had been analyzed based on Grounded Theory Approach. The results indicated that school organization tended to have threats such as “too many variety of value judgment among teachers,” “dysfunction of school administration system,” or “personnel management problem.” And they tended to cope with those threats by “sharing school policy among teachers,” “designing more functional organization,” or “encouraging the talent of teachers” respectively. At the same time, individual teachers themselves tended to be a threat for collaborative works by lack of ”partnership mind,” “ability to teach,” “vitality,” or endowment.” And to the teachers with those problems were coped with by giving “new and specialized role,” “in or out of school trainings,” “supports by colleagues,” or “notice to quit.” The interview data also suggested that there is the characteristic of Japanese school organization, in which teachers are expected to become full-fledged generalist in a vertical relationship due to competence andor experience. This characteristic has not been focused on so far by conventional Lose Coupling Theory. Lastly, we examined the future ways of making school as collaborative organizations that might be suggested by those results.
- 2010-09-30
著者
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