Effects of vertical air temperature distribution within forest canopies on photosynthesis and transpiration
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概要
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This study examined whether accurately simulating vertical air temperature (AT) distribution within forest canopies is essential for predicting vertical photosynthesis and transpiration distribution using multilayer canopy models. Inspecting earlier observational studies that reported vertical AT distribution within forest canopies, we showed that the common vertical AT difference within forest canopies was lower than 3.0℃. We showed, using a leaf-scale transpiration-photosynthesis model, that a 3.0℃ AT difference caused smaller differences in leaf- scale photosynthesis and transpiration rates than a common vertical difference in photosynthetic active radiation (PAR) intensity within forest canopies when AT was higher than ca. 15℃. While, the AT difference caused larger differences in leaf-scale photosynthetic and transpiration rates than the PAR difference when AT was lower than ca. 10℃. However, the ranges in the rates with changing AT by 3.0℃ were comparable with predictability of a leaf-scale transpiration-photosynthesis model. Thus, we conclude that accurately simulating AT distribution is not essential at this stage for calculating vertical photosynthesis and transpiration distribution using multilayer canopy models.本研究では、林内気温鉛直分布を正確に再現することが、林内光合成・蒸散鉛直分布を多層モデルで推定するのに不可欠かどうかを調べた。筆者らは既存文献を踏査して、林内で計測される鉛直方向の気温差が通常3.0℃以下であることを示した。つづいて、単葉スケールの蒸散・光合成モデルによる計算によってつぎのことを示した。気温が約15℃以上のとき、3.0℃の気温の差が引き起こす光合成・蒸散量の違いは、林内で通常計測される光合成有効放射量の鉛直方向の差が引き起こす光合成・蒸散量の違いよりも小さい。一方、気温が約10℃以下のとき、3.0℃の気温の差が引き起こす光合成・蒸散量の違いは、林内で通常計測される光合成有効放射量の鉛直方向の差が引き起こす光合成・蒸散量の違いよりも大きいが3.0℃の気温の差が引き起こす光合成・蒸散量の違いは、単葉スケールの蒸散・光合成モデルの予測精度と同程度である。したがって、現時点において、林内気温鉛直分布を正確に再現することは、林内光合成・蒸散鉛直分布を多層モデルで推定するのに不可欠ではないと結論した。
- 九州大学農学部附属演習林,Kyushu University Forestsの論文
著者
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