森林水文学を実学として機能させるために

概要

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本稿の目的は,森林水文学を実学として機能させるための道筋をつけることである。筆者らの考えによれば,森林水文学を実学として機能させる上で,3つの問題が存在する。第1は,森林水文学において現状行われている研究を徹底するだけでは,森林水文学は必ずしも実学として機能しない,という原理的問題である(以下,「原理的問題」と呼ぶ)。この原理的問題を克服した上でも,実学的に意味のある研究を行おうとする場合,観測が大規模となって現実的にはほとんど実行不可能になる,という問題が生じる。これが第2の問題である(以下,観測不可能性の問題」と呼ぶ)。さらに,観測不可能性の問題をモデルの利用により回避したとしても,モデル予測に伴う不確実性をいかに処理すべきか,という問題が存在する(以下,「モデル予測の不確実性の問題」と呼ぶ)。これが第3の問題である。本稿では,これらの3つの問題それぞれについて,その内容を説明した上で,解決法を提示していく(IIからIV章)。加えて,筆者らが提示する解決法の実行可能性を示すために,実際に実学的成果を上げた研究の実例を紹介する(V章)。このことを通じて,森林水文学が実学として機能する方向性を示したい。
水利科学研究所の論文
2012-04-00

森林水文学を実学として機能させるために

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