急傾斜源頭部流域の流出形成に及ぼす蒸発散分布の影響に関する予備的解析
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概要
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We analyzed effects of evapotranspiration distribution streamflow in a forested catchment using a lumping model.The model was developed to understand the interrelation between components of water budget in two zones, source zone and hillslope zone. In this study, hydrological observations of precipitation, stream discharge, and soil moisture were conducted in a granitic steep headwater catchment in Etajima experimental forests, Hiroshima, Japan. We found a significant correlation between baseflow and saturation of source area. We analyzed effects of evapotranspiraotin on stand conditions baseflow by changing the transpiration rate of each zone in the model. The results showed that (i) the annual trend of baseflow was strongly affected by evapotranspiration of the upper hillslope and (ii) the effects of evapotranspiration of source zone on baseflow appeared only during the dry period. We conclude that it is important to estimate each stand type of evapotranspiration and its distribution for understanding baseflow generation in the steep forested catchments.森林流域における蒸発散分布が基底流量に与える影響について流出タンクモデルを用いて予備的に解析した.このモデルでは,流域の斜面が2つの領域に概念的に区分されている.一つは,土層中に飽和帯が形成されるような流路沿いの領域 (Source zone) であり,もう一つは,それよりも上部の領域 (Hillsiopezone) である.このモデルにより,各領域における水収支構成要素の相互関係を把握することができる.本研究では,山地源頭部の花崗岩流域である広島県江田島水文試験地において降雨,流出,土壌水分の観測がなされ花崗岩た.その結果,基底流量と流路沿いの土層の飽和度との間に有意な相関が見いだされ,この関係はモデルに組み込まれた.約10ヶ月間の降雨,流出データに基づいてモデルをキャリブレーションした結果, Source zoneの飽和度の変化傾向は,流路沿いの土層で観測された飽和度の変化傾向とよく一致していた.すなわち,このモデルにより,蒸発散が基底流量に与える影響を十分に説明できると判断できた.そこで,各領域の蒸散強度を変化させる数値実験を行った.その結果, (i)Hillslope zone の蒸散は基底流量の年変化に強く影響すること, (ii)Source zone の蒸散は渇水期にのみ基底流量に影響することがわかった.以上より,急傾斜森林流域における基底流出の形成を明らかにするためには,林分タイプ別の蒸発散とその空間的分布を評価することが極めて重要であると結論づけられた.
- 九州大学の論文
著者
-
大槻 恭一
九州大学福岡演習林
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大槻 恭一
九州大学大学院農学研究院
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小川 滋
九州大学大学院農学研究院
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芳賀 弘和
九州大学大学院農学研究院森林資源科学部門森林生態圏管理学講座
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Otsuki Kyoichi
Kyushu Univ. Fukuoka Jpn
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