〈資料〉台湾における視覚障害児の巡回指導制度に対する教員養成センターの役割について

概要

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本研究では､1960年代にアメリカから台湾に導入された視覚障害児巡回指導制度の成立とその発展において､｢視覚障害児統合教育プログラム教員養成センター｣(以下､センター)が､いかなる位置付けのもとに､どのような役割を果たしてきたかについて検討した｡本制度の導入段階において､巡回指導教員養成機関としてセンターが設立され､制度発足に重要な役割を果たした｡さらに制度開始後においても､政府が制度運営の執行組織を設置せずセンターに任せるという方針をとったため､センターは本来の教員育成業務のほかに､巡回指導の全国的な統括･指導の役割を実質的に担った｡しかし､このように本来の業務ではない巡回指導の推進を教員育成センターが担い続けたこと､また､センターの事業は政府の各年度の委託事業であり､敷地､組織･人事､予算等に長期的な見通しがない状態が続いたことなどの問題があった｡その後､1994年の｢教員養成法」の制定に伴い､他の教員養成大学においても巡回指導教員の養成が可能になった｡また､その翌年(1995年)には､センターは元設置校である台南師範学院の一組織となり､約30年間にわたって続いた唯一の教員養成機関としての役割は終了した｡
筑波大学心身障害学系の論文

著者

鳥山由子
筑波大学

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