TVコマーシャル市場の確率モデル
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概要
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ソーシャル・メディア上のアプリケーション・ソフトウエアの有用性等を評価するため,「単体」としての人々の意思決定を心理学的に調べる各種実験が行われているが,多くの場合,個人差による大きな揺らぎが障壁となり,そこから普遍的知見を得ることは極めて難しい.一方,多くの人々が関与する集団行動には,意思決定における個人差が捨象され,何らかの普遍的規則(統計的規則)が現れる可能性がある.そのような膨大な「知的」エージェントが関与する意思決定として,視聴者の「ミクロな」チャンネル選択と,それに基づく「マクロな」視聴率の変化が挙げられる.この種の社会的システムは群れ行動[1],[2]に代表される典型的「多体問題」とみなすことができ,また,我々国民の多くにとって身近なものであるにも関わらず,現在まで系統だった数理的研究がほとんんどなされないでいた.そこで本研究では,このようなミクロなエージェントの意思決定の結果として得られるマクロな統計量(ある種の「オピニオン形成」)を算出するための理論的プラットフォームを提案する.具体的には,リモコンのチャンネル配置に基づくユーザビリティに依存する「人間工学的ファクタ」,放送局の宣伝による「外的ファクタ」,「多くの人が観るから自分も観る」という類いの市場履歴に基づく「内的ファクタ」により各視聴者が確率的にチャンネルを選局する数理モデルを提案し,そこから瞬間/平均視聴率, GRPといった統計量を算出し,いかなる条件下で,どのような時系列パターンが生成しうるかを数値実験により議論する.また,本講演では,各局のCM配置戦略のゲーム理論的考察や,他メディア(例えば, SNSの同一コミュニティ内での情報共有)との相互作用を取り込んだモデルの精緻化についても言及する.
- 2013-01-17
著者
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