3状態ランダム磁場イジング模型に基づく金融危機の特徴付け
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概要
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災害や国際的紛争等を引き金とする金融危機においては,多くの銘柄株価が急落する.これらはマクロな現象ではあるが,その背後には多くのトレーダのミクロな意思決定がある.我々は2012年1月のNC@函館(日向野,井上)において,金融危機前後の株価時系列をランダム磁場イジング模型で学習させることにより,この模型を特徴付ける2つのパラメータ-トレーダ間協調強度(相互作用),外部情報強度(ランダム磁場)-の時間発展を調べ,金融危機においては,これらのパラメータが自律的に対応する相転移点へと向かうことを示した(ある種の「自己組織臨界現象」).しかし,そこでトレーダは必ず「売り」「買い」の2つの選択肢の一方を選ばなければならず,そこに「市場動向によっては状況を静観する」という判断は許されていない.そこで,本講演では「静観」も許す「3状態イジング模型」を導入し,金融危機を市場に参加するトレーダの割合(活動度)から特徴付けることを試みる.具体的には,各トレーダに"±1"(売り/買い),"0"(静観)の3つの選択肢を与え,"0"以外の判断を行ったトレーダの割合を「出来高」として定義し,このマクロ変数を金融危機前後で測定する.このとき,出来高の共役変数として化学ポテンシャルがエネルギー関数に導入される.我々はこれらのハイパー・パラメータ,出来高の時間発展を危機前後で観測することで,金融危機を自己組織臨界現象として特徴付けることの妥当性を検証する.
- 2013-01-17
著者
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