EEGを用いた視覚運動変換を決定する意思決定変数の動的変化の推定
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
視覚刺激を知覚してから運動開始までの潜時は,文脈や環境情報に依存して状況ごとに変化する.この潜時のばらつきの存在は,脳における視覚運動変換が,事前知識や環境情報によって影響を受ける脳の内部状態に確率的に依存していることを示唆している.そのような視覚運動変換を決定する意思決定変数の変化をEEGにより観測し,EEG信号から将来起こる事象に対して生成される運動を予測することによって,意思決定変数の脳内表現を明らかにする.そのために,GO/NO-GO刺激の前に手がかり刺激を与える実験を行なった.その結果,与えられる手がかり刺激に従って,NO-GO刺激に対する成功確率と潜時が変化することがわかった.さらに,計測したEEG信号から,NO-GO刺激に対する2つの行動(成功,失敗)を予測する頭皮上電位のトポグラフィを描くとともに,EEG振幅と反応時間との相関を確認した.これらの結果は,No-Go刺激に対する運動の生成を決定する意思決定変数が,手がかり刺激の不確実性を表現しながら発展し,脳活動の時空間マップを変化させることを示唆している.
- 一般社団法人電子情報通信学会の論文
- 2013-03-06
著者
-
大須 理英子
科学技術振興事業団川人学習動態脳プロジェクト
-
藤原 祐介
ATR脳情報研究所
-
大高 洋平
国際電気通信基礎技術研究所:慶應義塾大学:東京湾岸リハビリテーション病院
-
井澤 淳
ATR脳情報研究所
-
大須理 英子
ATR脳情報研究所
-
相原 孝次
ATR脳情報研究所
-
加藤 大陽
奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科 ; ATR脳情報研究所
-
大高 洋平
ATR脳情報研究所 ; 慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室 ; 東京湾岸リハビリテーション病院
関連論文
- 比較的速い運動におけるフィードフォワードインピーダンス制御による精度の向上(バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング)
- タスク最適化とスティフネスの選択(統計的学習理論及び一般)
- 不完全な内部モデル表現形式による手先軌道予測の比較検討
- Euler-Poisson方程式を用いた指令トルク変化最小軌道生成
- 複数の変更された環境における到達運動の学習 : 内部モデルの多重性の検証
- 不完全な逆ダイナミックスモデルによる制御での手先軌道の特徴の説明
- 経由点到達運動の位置分散は軌道計画・実行の逐次モデルを支持する(バイオサイバネティックス,ニューロコンピューティング)
- fMRI/MEG統合解析による心的な視標運動追跡に関わる皮質電流源の推定(一般,ベイズ情報処理及び一般)
- MEGとEOGを用いた眼球と大脳皮質の同時電流源推定によるMEG眼球アーチファクト除去(一般, 脳・ヒューマンモデリング, 一般)
- 眼球と大脳皮質の同時電流源推定による MEG 眼球アーチファクト除去
- 1075 負荷量の異なるペダリング運動中における脳活動の比較(理学療法基礎系,一般演題(ポスター発表演題),第43回日本理学療法学術大会)
- 2-6-3 地域在宅高齢者における握力ならびにTimed Up & Go Test(TUG)の検討(高齢者(1),口演,一般演題,リハビリテーション医学の進歩と実践,第43回日本リハビリテーション医学会学術集会)
- 1-2-9 HANDS therapyによる脳卒中片麻痺上肢の日常生活での使用頻度の変化(脳卒中(上肢),口演,一般演題,リハビリテーション医学の進歩"評価から治療介入へ",第45回日本リハビリテーション医学会学術集会)
- サイボーグ医療の未来像
- 手指筋出力と運動野活動との関係 : NIRS と fMRI による比較
- 二つの粘性力場への同時適応と切換(バイオサイバネティックス、ニューロコンピューティング)
- 複数の粘性力場に対する効果的な学習法の検討(「脳・認知科学」及び一般)
- 効果器の変化に対するヒトの適応 : 力制御課題中の筋へ電気刺激を外乱として用いて
- 速度依存力場と位置依存力場に対する内部モデルの独立性 : 多重内部モデルの検証(バイオサイバネティックス, ニューロコンピューティング)
- 複数の粘性力場に対する多重内部モデルの獲得とそのスイッチング
- ヒトの効果器間協調における順モデル使用の妥当性
- III-9P3-6 筋活動の変化に対する適応 : 力制御課題施行中の筋へ,電気刺激を外乱として用いて(運動生理2)
- ヒト円滑性追跡眼球運動における非周期視標運動の予測と学習(「脳・認知科学」及び一般)
- 1547 メンタルプラクティスによる大脳皮質血流量の変化について(理学療法基礎系,一般演題(ポスター発表演題),第43回日本理学療法学術大会)
- 1544 随意運動中の電気刺激が大脳皮質血流量に及ぼす影響(理学療法基礎系,一般演題(ポスター発表演題),第43回日本理学療法学術大会)
- 人工呼吸中の呼吸理学療法の確立に何が求められるか : 全国アンケートの結果から
- 人工呼吸管理中の早期産児に対する呼吸理学療法
- 11.左半側空間無視を呈する1症例における視覚誘発脳磁場所見の検討(第19回 日本リハビリテーション医学会 関東地方会)
- 3-5-18 重度片麻痺に対する新手法 : CHASE療法の提案(脳卒中(その他(1)),口演,一般演題,リハビリテーション医学の進歩"評価から治療介入へ",第45回日本リハビリテーション医学会学術集会)
- 1-2-10 片麻痺上肢へのアプローチ : HANDS療法導入に際し,CHASE訓練が有効であった1例(脳卒中(上肢),口演,一般演題,リハビリテーション医学の進歩"評価から治療介入へ",第45回日本リハビリテーション医学会学術集会)
- II-8-5 脳卒中患者における脛骨神経SEPの経時的変化と下肢感覚機能との関係(電気診断)
- 1-P3-3 一側手指運動が半球間抑制に与える影響 : 健常成人における電気生理学的検討(神経生理,ポスター,一般演題,リハビリテーション医学の進歩"評価から治療介入へ",第45回日本リハビリテーション医学会学術集会)
- 1-P2-21 重度失語症患者における歌唄時の脳活動 : 近赤外光を用いて(脳卒中(高次脳機能障害(1)),ポスター,一般演題,リハビリテーション医学の進歩"評価から治療介入へ",第45回日本リハビリテーション医学会学術集会)
- II-E-24KM 脳卒中片麻痺上肢のフィードフォワード運動訓練 : 訓練機器の開発とその試用
- I-A1-4 小脳の内部モデルの再構築をめざした片麻痺上肢のフィードフォワード運動訓練の検討
- C5頸髄損傷患者に対する新しい電動式把持装具の試み
- 情報幾何とその応用(脳化学2,数学者のための分子生物学入門-新しい数学を造ろう-)
- 1.自己導尿により27年間合併症なく経過した脊髄損傷の1例(第20回 日本リハビリテーション医学会関東地方会)
- II-9P2-22 限局性頸部伸展性ミオパチー(Isolated Neck Extensor Myopathy)の治療経験(神経筋疾患)
- II-9P1-19 感覚入力遮断が立位姿勢制御に及ぼす影響に関する検討(電気生理)
- 講座 運動学習とリハビリテーション(4)環境の変化に対する適応
- 1-2-8 Hybrid Assistive Neuromuscular Dynamics Stimulation(HANDS)療法の長期効果(脳卒中(上肢),口演,一般演題,リハビリテーション医学の進歩"評価から治療介入へ",第45回日本リハビリテーション医学会学術集会)
- 運動技能の獲得とそれに伴う柔軟性の変化:表面筋電図による検討(運動学習)
- 高齢者リハビリテーション医学の進歩--二足直立歩行と転倒予防に焦点をあてて (アンチエイジングの科学--老いに負けない) -- (老年科学・老人医療の現状)
- リハビリテーション医学からみた高齢者の転倒予防(骨関節疾患のリハビリテーション-高齢者運動機能維持への取り組み-,第44回日本リハビリテーション医学会学術集会/神戸)
- エビデンスからみた転倒予防プログラムの効果 : 2. 転倒にまつわる諸問題と転倒研究における今後の課題
- エビデンスからみた転倒予防プログラムの効果 : 1. 狭義の転倒予防
- C5 頸髄損傷患者に対する簡易電動把持装具の試み
- 多変量単位四元数のための因子分析モデル
- 事象関連NIRSによる素早い把持動作に関連する脳活動の計測に必要な諸条件の検討
- 準備動作の違いによる左右踏み出し運動の識別 : 全身運動の時間的構造に基づく行動の先読みに向けて
- 筋力分配問題における神経構造パラメータの影響
- EEGを用いた視覚運動変換を決定する意思決定変数の動的変化の推定
- 事象関連NIRSによる素早い把持動作に関連する脳活動の計測に必要な諸条件の検討