看護学部学生における導入教育の評価 : A大学における調査結果の検討
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概要
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背景 近年, 少子化の影響を受け大学への進学希望者と入学定員数がほぼ同数となる時代が到来した. このような状況の中, 大学生の学習意欲や学力の低下が指摘されており, 学習意欲の向上および適切な学習スキルを身につけるために導入教育を取り入れている大学が多い. 大学生に対する導入教育の必要性が認識され実施されているが, 具体的な導入教育プログラムの基準や評価方式が未だ定まっていない現状があり, 共通教材の必要性も指摘されている. 目的 本稿は看護学部学生を対象に, コミュニケーション能力の向上や日常生活スキルの習得を目指した導入教育の効果を調査によって検討することを目的とした. 方法 対象は看護学部1年生全員 (71名) である. 導入教育の効果は, 「親和性」 「リーダーシップ」 「計画性」 「感受性」 「情報要約力」 「自尊心」 「前向きな思考」 「対人マナー」 の8因子からなる日常生活スキル尺度 (大学生版) と自由記載式の感想用紙を使用し評価した. 倫理的配慮として, 対象には研究への参加を拒否しても不利益を被ることは一切ないこと, 研究への参加は自由意思によって決定してよいことを伝えた. 結果 日常生活スキル尺度 (大学生版) は, 導入教育の開始前と終了後で全ての因子において有意差が認められなかった. しかし, 導入教育の終了後に調査した学生の感想を共通内容ごとに分類し研究者間で検討した結果, 『コミュニケーションの成立度』 『学習スキル向上』 『カリキュラム上の課題』 の3つの大きな項目にわけられた. また, 「リーダーシップ」 の得点が低い傾向にあることが明らかとなり, 今後の導入教育に加え授業や臨地実習の中でリーダーシップ能力の向上を目指した教育や指導を取り入れることが必要とされた. 結論 今回の導入教育では有意差が認められなかった. しかし, 学生の感想にはコミュニケーションの充実や学習への積極的な姿勢についての記載がみられた. また, リーダーシップ能力の向上を目指す教育が必要とされた.
- 聖泉大学の論文
- 2012-04-00
著者
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流郷 千幸
聖泉大学看護学部
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長谷部 ゆかり
聖泉大学看護学部
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大籠 広恵
聖泉大学看護学部
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間 文彦
聖泉大学看護学部
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井上 美代江
聖泉大学看護学部
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田中 祐子
聖泉大学看護学部
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田原 育恵
聖泉大学看護学部
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