看護大学生における性感染症の知識と意識の実態
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
背景 厚生労働省の性感染症報告では,20 〜 29歳の感染が他の年齢層に比べて高い状況が続いている.しかし,性行為をする年齢が低年齢化傾向にある一方で,若年層は性感染症に関する知識が不十分であることが指摘されている.大学生が性感染症に罹患すると学業の中断あるいは継続中止といった状況を招くことから,大学における性教育の充実が必要である.目的 看護大学生の性感染症に対する知識と意識の実態と性感染教育との関係を明らかにし,効果的な性感染症予防教育の方法を検討する.方法 対象はA大学看護学部1年生89名,2年生65名計154名.無記名の自記式質問紙法による質問紙調査を実施した.属性,各質問項目の基本統計量と,学習回数と性感染症の疾患の症状に関する知識,性感染症の感染や予防などに関する知識,性感染症に対する意識の2要因間について,Fisherの直接法を用い分析した.有意水準は5%とした.結果 有効回答は104名(有効回答率67.5%)であった.対象者の96.2%が性感染症の学習経験があった.疾患の症状に関する知識は,HIV/AIDSは91.3%,クラミジア,ヘルペス,淋病は半数以上が知っていたが,コンジローマは38.4%と半数以下であり,疾患により知識レベルに差があった.また,学習回数との関連では,クラミジア,淋病,コンジローマは学習回数の多い対象者に知っている割合が有意に高かった.感染や予防などに関する知識は9項目中6項目において80%以上の高い正答率であったが,学習回数による差は認めらなかった.性感染症に対する意識では,対象者全員が誰もが感染する可能性があると回答していたが,自分が感染する可能性があると回答したのは62.5%であった.また,学習回数による差は認められなかった. 結論 疾患の症状に関する知識は,学習回数の多い者が知識を有している割合が有意に高かった.感染や予防などに関する知識,性感染症に対する意識については,学習回数との間に有意な差は認められなかった.HIV/AIDS以外の疾患に関する項目について対象者の学習レベル,知識レベルに差があった.性感染症に関する基本的な内容を復習し,予防行動など具体的な内容を教授することが必要である.
- 2013-04-00
著者
関連論文
- ヘルパーの「たんの吸引」行為実施に向けての研修システムと地域関係者のネットワークづくり (特集 神経筋疾患の安心安全な在宅療養)
- 在宅ホスピスケアにおける介護支援専門員の多職種連携の実態
- 家族以外の者が行う「たんの吸引」実施のシステムづくりに取り組んで (特集 難病患者を地域で支える)
- 保健師として被災地の支援に入って (特集 震災を越えて--"つながり"からの出発)
- 優秀論文 透析療法についての十分な説明がなかった事例の心理的体験の分析
- 在宅ホスピスケアチームにおける介護支援専門員の役割認識に関する研究
- B-11 介護支援専門員の捉える在宅ホスピスケアにおける課題(一般演題,第21回日本健康医学会総会抄録集)
- 介護支援専門員の在宅ホスピスケア困難要因と関連要因の検討
- 高齢透析患者の療養生活における体験の意味づけ
- 看護大学生における性感染症の知識と意識の実態
- 新設看護学部における看護実践能力育成のための看護技術項目の検討
- 看護学部学生における導入教育の評価 : A大学における調査結果の検討
- 高齢精神障害者の在宅生活支援において介護職がケアに困った利用者の行動とその対処
- B-11 介護支援専門員の在宅ホスピスケア困難要因と関連要因の検討(一般演題,第20回日本健康医学会総会抄録集)
- A-6 精神認知機能に問題がある高齢者に対する介護職の教育プログラムの効果と課題(一般演題,第23回日本健康医学会総会抄録集)
- 介護職の対処能力向上プログラムの効果と課題
- 一看護系大学の地域貢献活動におけるキャリアアップ講座の分析 : -医療従事者の受講者自己評価アンケートから-
- 看護職の大学院進学に関する看護管理者の認識 : -滋賀県内の看護管理者を対象として-