看護大学1年次における「フィジカルアセスメント」の授業評価と課題
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概要
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背景 医療の高度化に伴い,看護師の高い判断能力と医療チームをまとめていく調整能力が求められており,看護学教育では,「フィジカルアセスメント」を強化することが必要とされている.A大学看護学部(以下本学)は,2011年度に開設し,シラバスの調整上「フィジカルアセスメント」は,1年次前期に開講している.また,学生のレディネスに配慮し,「人体の構造と機能」と「フィジカルアセスメント」を関連付けた授業を試みている. 目的 2011年度前期に行った「フィジカルアセスメント」の授業方法と内容,開講時期について検討し,課題を明らかにする.方法 本学1年71名を対象に,研究の倫理的配慮を説明し,承諾の得られた学生に,授業過程評価スケール尺度(看護学講義用)を基に作成した質問紙調査を行った. 質問紙の内容は,授業の展開に関する7項目と学生主体のプレゼンテーションに関する5項目を5段階で評価した.結果 質問紙調査の結果は,授業の展開を問う7項目の平均は,7項目中6項目は3.9以上であった.最も評価が低かったのは,「専門用語に対してわかりやすい説明であった」が,平均3.5であった.学生が主体となって行ったプレゼンテーションに関する評価5項目の平均は,5項目中3項目は3.9 〜 4.0であった.最も低かったのは「自分の意見を発言できた」3.5で,次に低かったのは「発表後の達成感があった」3.6であった.考察 質問紙調査で授業の展開に関する7項目中6項目が3.9以上であり,授業に興味をしめしていた.プレゼンテーションでは5項目中3項目に3.9以上の結果から,学生のレディネスを考え,「人体の構造と機能」を学生主体のプレゼンテーションとして授業に導入したことで,積極的に事前学習に取り組んだ結果であると考える.また,「人体の構造と機能」を事前学習することで,「フィジカルアセスメント」の学習目標が明確になり,授業の展開に対して肯定的な評価を得た.一方,授業の展開を問う項目の「専門用語に対してわかりやすい説明であった」が3.5と低かったのは,医療の専門用語について十分に学べていない時期であると考えられる.さらに,プレゼンテーションに関する評価の「自分の意見を発言できた」と「発表後の達成感があった」が3.5,3.6と低かったのは,「人体の構造と機能」が「フィジカルアセスメント」の授業に必要であると考えられない学生がいたためだと考える. 結論 本学での「フィジカルアセスメント」を効果的に実施するには,学生のレディネスを考えた開講時期を考慮し,教科書の選定や授業内容を再検討する必要がある.
- 2013-04-00
著者
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上野 範子
聖泉大学看護学部
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今井 恵
聖泉大学看護学部
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井上 美代江
聖泉大学看護学部
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千田 美紀子
聖泉大学看護学部
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松永 早苗
聖泉大学看護学部
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辻 俊子
聖泉大学看護学部
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森下 妙子
聖泉大学看護学部
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