山形県の児童生徒における体格・体力の検討II : 低体力児の地域差

概要

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山形県では肥満傾向児の出現率が高いにもかかわらず,児童生徒が高い運動能力をもつことが報告されている。本研究は寒冷豪雪地帯である山形県に居住する児童生徒の体力を検討することを目的とした。平成18年5月〜7月,山形県の公立小学校および中学校において新体力テストと日常生活に関する質問紙調査を実施した。対象は,山形県内の7地域に居住する児童生徒24,489人であった。東南村山地域は低体力児の出現率と有意に関連していた(odds比:1.20, 95%信頼区間:1.08-133, p<0.01)。また,スポーツクラブへの所属(odds比:0.71, 95%CI:0.66-0.68, p<0.01),運動時間(odds比:0.66, 95%CI:0.64-0.68, p<0.01)と朝食の摂取(odds比:0.91, 95%CI:0.83-0.99, p=0.03)は,低体力児を出現させにくくしていた。肥満傾向児の多い地域である西置賜地域の児童生徒は運動能力が高く,最上地域も筋力・筋パワー系に優れていた。肥満傾向児の多くがスポーツクラブに所属しているため,運動能力を維持しているのではないかと推察された。さらに,児童生徒の体重上昇は筋肉量の増加による可能性も示された。寒冷豪雪地帯の子どもの体格と体力の関連は,生理学的評価,生活習慣および環境要因から総合的に検討する必要がある。
2011-07-31