山形県の児童生徒における体格・体力の検討I : 肥満傾向児の地域差

概要

論文の詳細を見る
小児肥満は発達に影響を及ぼすだけでなく,成人後の生活習慣病や心疾患の罹患率も上昇させる深刻な問題であり,北海道および東北地方は,他の地方よりも肥満傾向児の出現率が高い傾向にある。本研究は寒冷豪雪地帯に居住する児童生徒の体格を検討することを目的とした。平成18年5月〜7月,山形県の公立小学校および中学校において新体力テストを実施した。対象は,山形県の最上地域,北村山地域,東南村山地域,西村山地域,東南置賜地域,西置賜地域,庄内地域の7つの地域に居住している児童生徒24,489人であった。肥満度は「児童・生徒の健康診断マニュアル(改訂版)」より判定した。山形県の肥満傾向児の出現率は全国平均を大きく上回っていた。また,肥満傾向児は低年齢で増加していた。居住地域の比較では,男女ともに県北部と南西部で肥満傾向児が多かった。これらの地域は山岳に隣接し,多くの過疎地帯を擁している。寒冷・豪雪地帯に居住する児童生徒の肥満は,気候および外気温農村の生活習慣の影響が考えられる。
2011-07-31