P110 AOTFを用いた分光装置の開発(ポスターセッション口頭1)
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概要
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惑星探査において分光観測は良く用いられる手法であるが、従来の分光観測ではバンドパスフィルターとフィルターホイールを用いた可動部分を有した分光カメラが用いられており、しかもバンドパスフィルターの数はせいぜい数枚が限度であった。その為、連続分光が可能であり、可動部分が少ない新しいタイプの分光カメラの開発が求められている。また現在検討が進められている月面探査においては、地上に於けるような岩石薄片を作成することが困難であるため、別な方法に関して検討が必要である。これまで月の表面はアポロ・サーベイヤ両計画を除きリモートセンシングによる観察であったため、鉱物量比や鉱物の化学組成、岩石組織に関する調査ではなく、元素分布などの調査が主流であった。岩石組織に関しては、アポロ・サーベイヤなどによるサンプルリターン、また地球上で発見される月隕石を分析することにより調査が行われてきた。月の進化史、特に表面における進化を明らかにするためには岩石組成に関する調査及びその分布に関する地質学的な調査が必要となる。このような鉱物、岩石としての調査には、薄片試料の透過光を偏光顕微鏡により観測することが適しているが、現在の技術では月面の無人環境で薄片試料を製作することは困難である。そのため、反射光による分光を併用したマクロもしくは顕微観測がもっとも適していると考えられる。しかし月面の物質は宇宙風化作用により、分光曲線になまりやレッドニングの効果が見られると考えられる。このような状態で物質の分類をすることは、従来の数バンド程度の分光機では困難である。そのため、連続分光イメージングカメラによる観測が必要となる。AOTFは、二酸化テルルなどの鉱物の結晶に超音波を入力することにより、粗密波の定常波を結晶中に作り出し、格子作用から分光性能を作り出す音響光学素子である。入力する超音波の波長を変えることにより、様々な波長での分光観測が可能になる可変式の分光器である。可動部分が無く、連続分光、イメージングが可能であることから次世代の惑星探査用分光観測器としてAOTFは期待されている。しかしながらAOTFはまだ宇宙で画像分光カメラとしての運用実績はまだなく、運用方法、装置のコンパクト化、耐打ち上げ性能調査、耐宇宙環境調査など様々な検討課題が残されている。現在我々は月面着陸機、もしくはローバに搭載することを念頭に置き、AOTF装置の開発を行っている。本発表では装置開発上の問題点と、その運用方法に関する現在までの知見を報告する。
- 2000-10-31
著者
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