フィンランドにおける最近の林業工学に関する研究動向
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概要
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フィンランドの森林は面積・蓄積とも日本とほぼ同じ条件にあるが,年間伐採量は日本の約2倍である。フィンランドでは,木材関連製品が国の総輸出額の約40%を占めており,林業・林産業は国家経済にとって重要な役割を果たしている。したがって,林業工学の研究にとっても,林産業が必要とする木材を停滞なくしかも低コストで供給しうるような伐出技術の問題が特に重要となっている。フィンランドには,林業工学に関する研究機関として,国立の森林研究所,ヘルシンキ大学,林産業中央協会の森林作業研究部,作業能率協会の林業部などがある。過去10年間にフィンランドで発表された林業工学に関する主な研究報告160編から,最近の研究動向をまとめると次のようになる。(1)実用的・応用的性格の研究が多い。(2)作業関係の研究が全体の40%を占め,なかでも伐出作業の計画・方法に関するものが多い。(3)機械関係の研究は20%を占めるが,性能評価に関するものが大部分である。(4)林道の路網計画・施工技術に関する研究は非常に少ない。(5)労働科学に関する研究が比較的多く,また機械コントラクタ,バイオマスの収穫技術,残存立木の損傷などに関するものなど日本ではあまりみられない研究も比較的多い。フィンランドでは,(1)機械化伐採作業が進むなかで,全生産コストに占める機械コストの割合を下げるための方策,(2)小規模森林所有者に適する伐出作業システム,(3)ピートランドにおける伐出作業技術,(4)造林作業の機械化,に関する研究が今後重要となろう。
- 1992-03-15
著者
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猪内 正雄
岩手大学農学部農林環境科学科森林科学講座
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猪内 正雄
岩手大学演習林(元)
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猪内 正雄
岩手大学農学部
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ハッキラ ペンティ
Finnish Forest Reserch Institute
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