ビームステアリング方向を重視することによるエコーイメージングと変位計測の高精度化 : 横方向変調(LM)と単一角度ステアリング(ASTA)への応用
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概要
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有効な超音波組織変位計測法を開発することにより、組織変位計測および歪計測の応用を広範化できる(様々な血流計測、心臓や肝の動き等)。我々は、開発した横方向変調(LM)と単一ステアリング角度を用いたステアリング(ASTA)を組織変位計測と組織エコーイメージングに応用してきた。エコーイメージングに関しては、横方向にもキャリア周波数のある高分解能イメージングを行ってきた。また、組織変位に関しては、従来のドプラ法では計測の困難な変位ベクトル(多次元自己相関法MAMとLMの組み合わせ)や横方向変位(Lateral DopplerとASTAの組み合わせ)の計測を可能とした。精度及び実時間性において、共に実用的なレベルに達しており、当研究会でも過去に幾度と報告している。一方で、複数の交差ビーム(MCB)を使用して、各ビーム方向に高精度に計測される変位成分から変位ベクトルを高精度に計測する方法を報告している。そのASTAやMCBを用いた変位計測法の精度を向上させるべく、本稿では、ビーム方向に関して空間分解能を持たせる新しい方法を報告する。各関心点において、その位置におけるビーム方向は、任意直交座標の全軸方向の瞬時周波数かスペクトルモーメントにより求まる。詳細には、各関心点において、全方向の各瞬時周波数を求めてビーム方向とその方向の周波数を求め、瞬時位相の時間変化をビーム方向周波数で割ることによりビーム方向変位を求める。その変位計測には、実時間性は失われるが、求まるビーム角度だけエコーを局所的に回転させて、信号処理することもできる。エコーを回転させない場合、この方法をMCBに応用すると、我々の報告しているMAMとLMの組み合わせと等価である。また、エコーを回転させない同場合におけるASTAへの応用は、Lateral Dopplerと等価である。このビーム方向に空間分解能を持たせる方法は、MAMにて使用される周波数分割法に直接的に応用できる。この他、本稿では、横方向変調イメージングに関し、エコー受信後のビームフォーミング後において、新しい信号処理により、余弦変調と正弦変調を逆にできることを報告する。また、ステアリングせずに正面方向にビームフォーミングした場合においても、低周波成分の除去を含む信号処理かアポダイゼーションにより、余弦変調又は正弦変調を行えることを報告する。寒天ファントムを用いた実験が行われており、ファントムは横方向に変形している場合が扱われている。
- 2011-05-17
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