デジタルツールによる陶磁器デザインプロセスの改革
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概要
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陶磁器の量産には石膏で作られた型が使用される。型製作は、これまで熟達した職人の手作業に頼っていた。職人たちは高齢化しているが、このままでは産業自体が成り立たなくなる。一方で、近年の商品寿命は益々短くなり、新商品開発には、以前にも増してスピードと精度が求められている。以上のような課題を克服するためには、デジタルツールの導入が非常に有効である。他の製品分野でも以前は同様の問題を抱えていたが、このプロセスの導入により解決が図られた。本研究は、コンピュータ技術によるデジタルツールを陶磁器デザインの現場に導入し改革を図るため、形状デザインから型製作に至る各プロセスでの種々の問題を検証し、解決を図るものである。効果的に導入するためには、現状を上回るプロセスを用意する必要がある。現状のプロセスを調査し、デジタル技術で置換するためのプロセスモデルを仮定した。このプロセスを実現するため、モデリングソフトウェアによるデータ制作法、RPによるサンプルモデル製作法、CNC切削による石膏型の直接製作法などの各課題について研究を重ねた結果、一連のプロセスを構築することができた。型製作以前のデザイン段階で詳細な検討が行え、データがデジタル化されたことにより曖昧さが排除されて当初の意図が最後まで継承される。CNC切削による型の精度、表面品質は、手作業に頼る現状のプロセスを遥かに上回るものである。製品と同品質の試作品が得られるまでの時間が短縮され、コストも安価である。型修正は正確に短時間で終了でき、試作サイクル回数も軽減することができた。型を精密に作る技術など、一部の技能は不要になってくる。デジタルデザインツールに関する技術があれば、陶磁器の経験が浅い若者でも、熟練した職人の技能を遥かに上回る精度で、自動的に型を作ることが出来るようになった。人員配置も変化するであろう。デザイン検討はデータを確認することで行えるため、開発はグローバル化し、今までに見られなかった製品が生まれる可能性もある。
- 2010-02-01
著者
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