九州地方のブナ林群落における組成分化の機構
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. 九州地方のブナ林の組成分化の実態を明らかにするために,ブナ林と隣接群落から収集した450の植生調査スタンドを基に組成と環境要因の両面からの考察を試みた. 2.群落組成の検討では,九州のブナ林の島状の分布形態を反映して隣接群落との組成的関連性が強かった.そのうちでも渓谷林との関係が密であった.DCA法による解析の結果では,1軸は温度,海抜高度と,2軸は地形を介した水分環境と高い相関がみられた. 3.群落単位とDCA法の展開結果との関係でみると,第四紀の山岳では地形形成作用の歴史が浅く,立地環境の変化が小さいため,群落分化も進んでいないが,古生層の山岳では逆に多様な立地の形成を反映して,湿性に偏る多くの群落が発達していた.そして,第三紀の山岳はその中間的な性質であった. 4.地質に関係して地形の発達程度が異なり,ブナ林内部の組成分化もこの影響を強く受けていた.特に古い地質の山岳では,湿性群落への分化が明瞭である.湿性群落への分化に強く影響を与えたのは,渓谷林に分布の中心を持つ襲速紀要素の種であった.
- 植生学会の論文
- 1996-12-25
著者
関連論文
- 都市林の変遷からみた先駆性高木種イイギリIdesia polycarpa Maxim.の動態
- 韓半島と九州北部および周辺島嶼の森林群落の種組成と分布に関する比較研究
- 日本における常緑カシ類2種の個体および優占林の分布を規定する気候条件
- コナラ-ヤマブキ群集 : 沖積砂礫地に成立する河畔林群落
- 礫床河川の河畔林としてのコナラ林 : その立地と種組成について
- 小地域における植生自然度区分とその応用 : II.植生自然度を用いた地域植生の分析
- 小地域における植生自然度区分とその応用 : I.植生自然度の分類方法について
- 箱根地域におけるブナ林の群落分化機構
- 西中国山地の山頂部に発達する湿性型ブナ林とその立地環境
- 群馬県,玉原湿原の湿原群落再生のための基礎的研究(?) : ハイイヌツゲ地上部刈取り5年後の萌芽成長について
- 濟州島,漢拏山のイワウメ群落に関する植物社会学的研究
- 鬼怒川河辺におけるヤナギ群落の分布と形成様式
- 奥日光の亜高山帯域における土石流堆積地上の遷移と堆積物の二次移動との関係
- 日本のブナ林における群集の組成分化について
- 今, 植生学会に期待すること
- 九州地方のブナ林群落における組成分化の機構
- 日本のブナ林群落の植物社会学的新体系
- 総合討論
- 森林を利用した都市防災計画(森林で地震災害を防げるか)
- 関東地方におけるコナラ(Quercus serrata Thunb.)の果実形態の種内変異
- ブナ帯に出現する広葉草本種の生育立地の地理的差異
- 自然教育園におけるイロハモミジの増加とその要因に関する研究
- 自然教育園内植物群落の組成と構造
- 長野県北東部におけるブナ林の構造と更新に関する平坦面と斜面間の差異
- 東京農工大学における学生生活の断面(現代の学生像)
- 奥日光のオオシラビソ林におけるシウリザクラの根萌芽および実生の動態
- イランのオリエントブナ林と日本のブナ林の植生構造の比較
- イランのブナ(Fagus orientalis)林の伐採後の再生過程
- 群馬県・玉原湿原の土壌環境 (森と健康)
- 群馬県玉原湿原における植物群落と水環境との関係 (森と健康)
- 都市地域の南・北斜面における二次林の群落構造の比較(1)
- 濟州島,漢拏山のイワウメ群落に関する植物社会学的研究
- 鬼怒川河辺におけるヤナギ群落の分布と形成様式
- 奥日光の亜高山帯域における土石流堆積地上の遷移と堆積物の二次移動との関係
- 自然教育園においてキアシドクガによるミズキの大量枯死が森林に与えた影響と将来予測
- 森林の再生過程に関する研究--ブナ林群落の組成、構造と再生
- 長野県北東部におけるブナ林の構造と更新に関する平坦面と斜面間の差異
- 九州地方のブナ林群落における組成分化の機構
- 北海道のブナ林に関する植物社会学的研究
- 日本のブナ林の群集 : その概念の変遷と現在
- 世界ブナ紀行 ヨーロッパのブナ林
- 世界ブナ紀行 中国のブナ林
- 世界ブナ紀行 メキシコのブナ林
- 世界ブナ紀行 台湾北東部のタイワンブナ林
- 世界ブナ紀行 イランのオリエントブナ林
- 樹木の構成と配置からみた都市公園の防火機能に関する研究
- 群馬県玉原湿原の湿原群落再生のための基礎的研究(3)ハイイヌツゲ地上部刈取り後の3年間の植生変化について
- 体験型基礎教育「SEEDモデル」--東京農工大学の事例 (特集 体験型学習の可能性)
- 森林群落の構造からみた防火機能の評価 : II. 防火機能より見た我孫子市の植生分布
- 森林群落の構造からみた防火機能の評価 : I.森林群落を中心とした防火機能の評価方法
- 第7回植生学会シンポジウム「日本の自然林へのシカの影響を考える」開催にあたって
- 第13回大会エクスカーションのコースと見どころ
- 防災まちづくり大賞10年を振り返って (特集 防災まちづくり大賞)
- 世界ブナ紀行 韓国・ウツリョウ島のタケシマブナ
- 里見信生先生の思い出
- 日本の緑と環境保全
- 植生学会会長としての所信表明
- 三方岩岳のブナ林における植物群落と土壌との関係
- 北陸地方のアカマツ植物社会-1-アカマツ林の植物社会学的考察〔独文〕
- わが恩師 鈴木時夫先生を語る