万葉集の植生学的研究
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概要
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1.万葉集に詠まれている植物,植物群落,立地条件をもとに同じ歌の中の植物間の組合せや植物と立地条件の組合せおよび植物群落を解析し,万葉時代の植生景観について考察した.2.万葉集に詠まれている維管束植物種数は145種(1650首),植物群落数は44(235首)であった.3.同じ歌の中の植物間の組合せや植物と立地条件の組合せは現存植生の種組成や植物と立地条件の組合せとほとんど矛盾しておらず,万葉集の写実性の高さが確認できた.4.「浜」,「里」,「野」,「山」における植生分布は万葉時代も現在も大きな差はなく,田畑,クロマツ林,チガヤ草原,ススキ草原,ヨシ草原,里山林などが当時広がっていたと推定した.万葉集の「山」は,現在使用されている用語でいうと「里山」に該当すると考えられた.5.万葉時代の西日本の暖温帯における「奥山」の植生はスギ・ヒノキ個体群と照葉原生林の混生林か,両者が地形的にすみ分けていた樹林と考えられた.「奥山」は,その後人の土地利用によって里山化が進み,万葉時代の「奥山」は現在では里山放置林やスギ・ヒノキの人工林に変化している.6.万葉集にもっとも多く詠まれていた植物はススキクラスの植物であった.しかし,「庭」に植栽されているススキクラスの植物を詠んだ歌が多く,その点を考慮すると,万葉集でもっともよく詠まれた植生景観は「庭」の景観であった.
- 2010-12-25
著者
-
服部 保
兵庫県立大学自然・環境科学研究所
-
南山 典子
兵庫県立人と自然の博物館
-
服部 保
兵庫県立人と自然の博物館自然・環境再生研究部
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服部 保
神戸大学自然科学研究科
-
服部 保
兵庫県立人と自然の博物館:姫路工業大学自然・環境科学研究所
-
服部 保
神戸大学大学院自然科学研究科
-
服部 保
姫路工業大学自然環境科学研究所:兵庫県立人と自然の博物館
-
小川 靖彦
青山学院大学文学部
-
服部 保
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
-
服部 保
兵庫県立大学自然・環境科学研究所:兵庫県立人と自然の博物館
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