都市域の孤立化した夏緑二次林における緑化・園芸樹木の逸出状況とその特徴
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
兵庫県、大阪府、埼玉県の都市域に残存する孤立化した夏緑二次林において緑化・園芸樹木の逸出種のフロラを調査した。兵庫県では31地点、大阪府では19地点、埼玉県では16地点の夏緑二次林を調査した。逸出種の出現種数はいずれの地域についても30種を超えており、3地域をまとめたときの総出現種数は60種であった。逸出種の出現種数の70%以上は鳥被食散布型種であったことから、緑化・園芸樹木の夏緑二次林への侵入は主に果実食鳥の種子散布によっていると考えられた。逸出種の中には在来種が数多く含まれていたが、その種数は逸出外来種の2倍以上であった。逸出種の出現種数と夏緑二次林の樹林面積との関係を調べたところ、いずれの地域についてもやや強い正の相関が認められた。また、兵庫県の夏緑二次林で確認された逸出種の出現個体数と樹林面積の間にも同様の相関がみられた。しかし、逸出種の種組成に基づいて算出された各二次林のDCAサンプルスコアと樹林面積の間には、いずれの地域についても有意な相関はみられなかった。このことから、逸出種の種組成に対する樹林面積の影響は非常に小さいと考えられた。兵庫県の夏緑二次林でみられた鳥被食散布型の5種(シャリンバイ、トウネズミモチ、コブシ、トベラ、ヨウシュイボタノキ)について、樹林の林縁部から同種の植栽地までの最短距離を算出し、その距離と出現個体数および分布との関係を解析した結果、ほとんど全ての個体は植栽地から200m以内の樹林に分布しており、これらの種の夏緑二次林への侵入には植栽地からの距離が大きく関係していることが示唆された。これらの知見に基づいて、緑化・園芸樹木の夏緑二次林への侵入・定着を抑制するための方法を提案した。
- 2008-05-30
著者
-
服部 保
兵庫県立大学自然・環境科学研究所
-
石田 弘明
兵庫県立大学自然・環境科学研究所
-
武田 義明
神戸大学発達科学部
-
服部 保
兵庫県立人と自然の博物館自然・環境再生研究部
-
石田 弘明
兵庫県立人と自然の博物館自然・環境再生研究部
-
武田 義明
神戸大学教育学部
-
戸井 可名子
(株)緑生研究所
-
服部 保
神戸大学自然科学研究科
-
服部 保
兵庫県立人と自然の博物館:姫路工業大学自然・環境科学研究所
-
服部 保
神戸大学大学院自然科学研究科
-
服部 保
姫路工業大学自然環境科学研究所:兵庫県立人と自然の博物館
-
石田 弘明
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所兵庫県立人と自然の博物館
-
武田 義明
神戸大 大学院人間発達環境学研究科
-
服部 保
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
-
ISHIDA Hiroaki
Institute of Natural and Environmental Sciences, University of Hyogo
-
石田 弘明
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
関連論文
- 宮崎県東諸県郡綾町川中の照葉原生林におけるニホンジカの採食の影響
- 宮崎神宮社叢の種多様性の特性
- タケ類天狗巣病が竹林の種組成・種多様性に与える影響
- 多様性夏緑高林を目標とする里山放置林管理と市民参加 (特集 里山と市民--新たな関係は構築されたか)
- 法面保護工の施工された植栽林下層植生の種組成と構造 : シダ植物の定着とその要因に着目して
- 宮崎県綾町大森岳の照葉樹林における着生植物の種多様性および腫組成
- 宮崎県綾町川中の照葉樹林における着生植物の種多様性
- 九州南東部における照葉樹の原生林,自然林,二次林の種組成および種多様性の比較
- 対馬における照葉樹の原生林,自然林,二次林の種組成および種多様性の比較
- ニホンジカの強度採食下に発達するイワヒメワラビ群落の生態的特性とその緑化への応用
- 水田畦畔法面の二次草原における管理放棄後の年数と種組成・種数との関係
- 科学・技術的課題に対する市民のエンパワーメント・システムの構築
- 九州南部の照葉樹林における維管束着生植物の種多様性および種組成
- 琉球列島における半自然草原の植物社会学的研究
- 兵庫県三田市の基盤整備地と非整備地における畦畔法面上のチガヤ群落の比較
- 超音波パルスエコー法による年輪計数の試み(I)
- 西蔵クーラカリン峰地域の主要植生類型とその分布の特徴
- 北海道の温帯植物の気候環境傾度に対する反応特性
- 東北地方太平洋側地域の夏緑広葉樹林について
- 北海道のブナ林に関する植物社会学的研究
- 北海道のミズナラ林について
- アカマツ-サイゴクミツバツツジ群集について
- 六甲山系のニセアカシア群落とアカマツ群落について
- 神戸市域の水田畦畔植生と種多様性保全に関する生態学的研究
- 猪名川上流域の里山林「台場クヌギ」林の特性 (特集 生物多様性保全の現場から)
- 六甲山の崩積地植生に関する研究
- 丹波の森公苑における植生管理と種多様性の保全に関する研究
- 科学者と学ぶ生活科の授業 : 対話型バーチャル植物園を利用した「野の草花しらべ」
- 対話型バーチャル植物園の開発
- P-12 カメラ付き携帯電話を利用したフィールドワークプログラムの開発と評価 : ケータイ写真日記「大発見」の中の自然
- 都市域の孤立化した夏緑二次林における緑化・園芸樹木の逸出状況とその特徴
- 北摂地域の萌芽林における常緑植物の植被率と種多様性・種組成との関係
- 北限と上限の照葉樹林の種組成と種多様性の比較
- 宮崎県綾町川中における微地形条件に対する照葉樹林構成種及び種多様性の分布
- 植物地理学の立場から緑化植物の地域性を考える(固有化と総合化にむけて)
- 里山の植生管理による種多様性の増加(平成12年度 日本造園学会研究発表論文集(18))
- タケ類天狗巣病による西日本の竹林の衰退
- 照葉人工林の種多様化に関する研究(平成15年度日本造園学会全国大会 研究発表論文集(21))
- 臨海部における照葉人工林の種多様性と種子供給源の関係(平成13年度 日本造園学会研究発表論文集(19))
- 宮崎県東諸県郡綾町川中の照葉原生林におけるニホンジカの採食の影響
- 兵庫方式による里山林の植生管理がその後の種多様性と種組成に及ぼす効果(平成17年度日本造園学会全国大会研究発表論文集(23))
- 都市山(としやま)六甲山の特色 (特集 都市資源としての六甲山)
- 兵庫県におけるハイノキの分布をどのように考えるのか
- 三田市フラワータウン内孤立林の現状と保全について(平成6年度日本造園学会研究発表論文集(12))
- 尼崎の森中央緑地における生態的森林創出の計画技術(技術報告編)
- 松原の植生景観の保全に与える管理の影響(平成15年度日本造園学会全国大会 研究発表論文集(21))
- 万葉集の植生学的研究
- 猪名川上流域の池田炭と里山林の歴史
- 照葉樹林成熟相とギャップ相の種組成および種多様性の比較
- 兵庫県三田市における市民による里山林管理の一手法(平成16年度日本造園学会全国大会研究発表論文集(22))
- 照葉樹林フロラの特徴と絶滅のおそれのある照葉樹林構成種の現状(平成14年度 日本造園学会研究発表論文集(20))
- 中国雲南省菜陽河自然保護区に分布するBetula alnoides林の構造と動態
- タケ類天狗巣病発症による竹林の衰退と種組成の変化(平成18年度日本造園学会全国大会研究発表論文集(24))
- 猪名川上流域における希少樹種エドヒガンの生育立地と個体群構造
- 兵庫県南東部,六甲山地における二次林の面積と種多様性の約50年間の変化(平成18年度日本造園学会全国大会研究発表論文集(24))
- 六甲山におけるブナ・イヌブナ個体群の現状とブナ林の復元可能性(平成18年度日本造園学会全国大会研究発表論文集(24))
- 農業土木技術者のための生き物調査(その9) : 陸上草本植物調査法
- 小面積化が孤立照葉樹林の種多様性に及ぼす影響 : 異なる空間スケールの種多様性と樹林面積の関係
- 二次植生の評価方法と保全・管理について
- 里山の分断・孤立化による生物多様性(種多様性)の問題 (特集:里山は今)
- 扇ノ山のブナ林におけるササ被度と林床植生の種組成および種多様性の関係
- 国版および地方版レッドデータブックから見た日本の海岸植物の絶滅危惧の現状--本州・四国・九州における状況
- 万葉集の植生学的研究
- 兵庫県南東部における照葉樹林の樹林面積と種多様性,種組成の関係
- 木製ブロック法留工の施工地におけるシダ群落の成立とその緑化への応用 (平成20年度日本造園学会全国大会研究発表論文集(26))
- 照葉樹林という用語について
- 外来植物の問題点と活用のあり方 (都市緑化特集・外来緑化植物)
- 布団籠工の表層におけるシダ群落の成立とその要因について (平成21年度日本造園学会全国大会研究発表論文集(27))
- 沖縄で刈り取り除草により維持されるチガヤ-シロバナセンダングサ群落の種組成と成立要因
- チガヤ-ヒメジョオン群集の特性
- 三田市フラワータウンにおける蝶類群集からみた植生の自然性評価
- 国内における外来樹木トウネズミモチの野外逸出(平成17年度日本造園学会全国大会研究発表論文集(23))
- 生物多様性保全と里山林管理 (特集 生物多様性)
- 兵庫県におけるビオトープ地図・プラン作成について
- 大阪府千里丘陵一帯に残存する孤立二次林の樹林面積と種多様性,種組成の関係
- 里山の現状と里山管理の方向 (特集:里山は今)
- 照葉樹林の種多様性 (特集:照葉樹林)
- 日本海側における孤立化した照葉樹林の樹林面積と種多様性, 種組成の関係
- 面積の縮小や管理方法の違いが大阪平野南部の半自然草原の種多様性に及ぼす影響(平成13年度 日本造園学会研究発表論文集(19))
- ニホンジカが暖温帯夏緑二次林の種多様性と種組成に与える影響
- シカの不嗜好性植物イワヒメワラビの栽培
- 植生学への期待と不安
- 木製ブロック法留工の施工地におけるシダ群落の成立とその緑化への応用
- 布団籠工の表層におけるシダ群落の成立とその要因について
- ニホンジカが暖温帯夏緑二次林の種多様性と種組成に与える影響
- 絶滅危惧植物ツクシガヤの種子発芽特性と種子保存方法
- 宮崎県中部における照葉樹林の樹林面積と種多様性,種組成の関係
- 八丈島における照葉樹林の成立要因 : 特に土地利用について
- 屋久島低地部の照葉二次林に対するヤクシカの影響とその樹林の自然性評価
- 淡路島の森林伐採跡地に分布する外来木本ナンキンハゼ群落の生態的特性と成因
- 屋久島低地部の照葉二次林に対するヤクシカの影響とその樹林の自然性評価
- お役に立ちます!最新研究紹介 ニホンジカの不嗜好性植物の緑化への応用
- 八丈島における照葉樹林の成立要因 : 特に土地利用について
- 兵庫県丸山湿原における湧水湿地の保全を目的とした植生管理による湿原面積と種多様性の変化
- 屋久島低地部の照葉二次林に対するヤクシカの影響とその樹林の自然性評価
- 八丈島における照葉樹林の成立要因 : 特に土地利用について
- 淡路島の森林伐採跡地に分布する外来木本ナンキンハゼ群落の生態的特性と成因
- 照葉樹林帯の植生一次遷移 : 特に桜島の溶岩原について
- 兵庫県北部の棚田,放棄棚田,圃場整備水田における畦畔法面草原の生態的特性の比較
- 中国雲南省南部の常緑広葉樹林と落葉広葉樹林におけるシダ植物の種多様性,種組成,被度の比較