「やさしい日本語」を用いたユニバーサルコミュニケーション実現のための予備的考察
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概要
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地域社会において在住外国人と地域住民とのコミュニケーションを考える際には、在住外国人側に一方的に日本語習得、日本文化への同化を強いることは不適当である。そうした問題意識に立ち、本稿では「やさしい日本語」を媒介とするコミュニケーションを提案する。これは、在住外国人側にも日本語習得のための一定の努力を求める一方、地域住民側にも自らの日本語使用を在住外国人にわかりやすいように調整することを求めるものである。初めに、学習者に習得してもらうべき「ミニマムの文法」とその発想に基づく教材について提案する。次に、地域住民側の在住外国人への接近のあり方の一例として公的文書の翻訳を検討する。これは本稿で日日ほんやくコンニャクプロジェクトと呼ぶものの中核をなすものである。まず、日本語教育経験が豊富な日本語教師が公的文書を「逐語訳、意訳、要約」に分けて書き換えた内容について報告する。次に、その書き換えの内容を語彙の面から検討する。これは公的文書を読むための基本語彙を設定するための基礎的作業である。最後に、作成されたコーパスを機械翻訳ツールに載せた分析結果を報告する。これは今後本格的に研究を行い、公的文書の日日翻訳を自動化するための前段階をなすものである。
- 2010-07-23
著者
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松田 真希子
長岡技術科学大学
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森 篤嗣
国立国語研究所
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岩田 一成
広島市立大学
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庵 功雄
一橋大学国際教育センター
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筒井 千絵
フェリス女学院大学
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松田 真希子
金沢大学
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庵 功雄
国際教育センター
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森 篤嗣
帝塚山大学現代生活学部
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庵 功雄
一橋大学
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