外傷性視神経障害の外科的療法について(<特集>脳と神経の研究VI)
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概要
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外傷性視神経障害は,頭部外傷において意識障害の全くない軽いものからきわめて重篤なものまで広く見られる合併症であり,しかも視力障害という重大な後遺症として残ることを考えると,単に治療困難な後遺症として放置するわけにわかない。われわれが2年間に経験した16例の手術例について,その臨床像を分析し,われわれの取っている手術法および予後についてまとめると次のごとくである。1)顔面および前頭部の外傷に多くきわめて軽い外力によってもおこりうる。2)手術所見は,視神経挫傷,眼窩・視神経管骨折,くも膜炎,そのほかであったが,骨折をみとめこれを完全に減圧した場合に予後はもっともよい。3)受傷直後より著明な視力障害をきたしたものより,間をおいて視力の低下をきたしたものの方が予後が良く,完全に失明したものより測定できる程度に視力の残ったものの方が期待できる。4)視神経管の減圧は全域にわたって完全に開放する必要がありこれを満足するわれわれの術式を紹介する。5)術後の成績は16例中12例に視力の改善をみとめ6例は満足すべきものであった。6)本症の成因は複雑であり一元的に説明できない場合が多い。
- 千葉大学の論文
著者
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植村 研一
浜松医科大学脳神経外科
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牧野 博安
千葉大学医学部二外
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山浦 晶
千葉大学医学部脳神経外科
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牧野 博安
千葉大学脳神経外科
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植村 研一
千葉大学医学部脳神経外科学教室
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忍頂寺 紀彰
千葉大学医学部脳神経外科学教室
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劉 浩志
千葉大学医学部脳神経外科学教室
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山浦 晶
千葉大学医学部 脳神経外科
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植村 研一
千葉大学医学部第二外科学教室
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忍頂寺 紀彰
千葉大学医学部第二外科学教室
-
劉 浩志
千葉大学医学部第二外科学教室
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山浦 晶
千葉大学医学研究院
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