母親は子どもへの不快感情をどのように説明するか : 第1子誕生後2年間の縦断的研究から
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概要
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本研究では子育て・親子関係を正負双方の側面をもちあわせたダイナミックなプロセスとしてとらえ,はじめて子どもを産む女性を対象に,子どもに対する不快感情についての説明づけを縦断的に検討した。具体的には子どもが2歳になるまでの間3ヶ月ごとにインタビューを行い,そこで得られた子どもに対する不快感情についての説明づけを分析することを通して,母親たちのものの見方を明らかにした。母親たちのものの見方は,目の前のわが子の育ち,子育ての方向性,母親自身の資源とが,せめぎあうなかで成り立っていることが考えられた。生後2年間の変化として,子どものことがわからないところから子どもの行動をパターン化し,1歳の後半には人格をもった一つの主体としてとらえるようになるプロセスと,世話・保護の対象から親の影響を受けるひとりの主体として子どもをとらえ,ソーシャライザーとしての役割を認識するようになるプロセスがあることが明らかになった。そのようなものの見方の変化は子どもの発達と不可分であることが示された。
- 2009-04-20
著者
-
亀井 美弥子
東京都立大学大学院人文科学研究科
-
岡本 依子
湘北短期大学保育学科
-
東海林 麗香
東京都立大学大学院
-
青木 弥生
松山東雲短期大学保育科
-
川田 学
香川大学教育学部
-
石川 あゆち
愛知県知多児童相談センター
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青木 弥生
松山東雲短期大学
-
岡本 依子
湘北短期大学
-
青木 弥生
松山東雲短期大学保育学科
-
東海林 麗香
山梨大学教育人間科学部
-
菅野 幸恵
青山学院女子短期大学子ども学科
-
八木下(川田) 暁子
神戸大学大学院総合人間科学研究科
-
高橋 千枝
鳥取大学地域学部
-
八木下 暁子
青山学院女子短期大学
-
青木 弥生
早稲田大学人間科学研究科
-
石川 あゆち
愛知県知多児童・障害者相談センター
-
川田 学
香川大学教育学部:(現)北海道大学大学院教育学研究院
-
石川 あゆち
愛知県知多児童センター
-
菅野 幸恵
青山学院女子短期大学
-
八木下(川田) 暁子
神戸大学大学院
-
亀井 美弥子
東京都立大学大学院
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