超音波振動を応用した鋳造ポストの除去に関する臨床研究

概要

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これまで,根管内にポストを有する補綴物を除去する場合,2台の超音波発振装置を用いて,相対する2方向から振動を加えると短時間で除去できることを報告し,臨床でも良好な成績を収めている.しかし,単根歯に比べて複根歯に装着されたポスト除去については十分な検討はなされていない.そこでわれわれは,大臼歯に装着されている鋳造ポスト除去の効率化を図るため,鋳造ポストを2分割したものと,2分割しなかったものについて,除去に要する時間を調査した.調査は全部被覆冠除去後,装着されている鋳造ポストに超音波振動を作用させることで動揺した鋳造ポストをプライヤーにて把持し根管から除去できるまでの時間を計測した.なお,鋳造ポストの分割は上顎大臼歯で近遠心方向に,下顎大臼歯で頬舌側方向に2分割した.鋳造ポストに対して超音波発振装置を2台用い,歯軸と除去用チップとの角度を90°,チップを当てる部位を2カ所かつチップは相対する方向,スケールは10に設定し超音波振動を加えた.結果,超音波振動を加え鋳造ポストを除去するのに要する時間は,分割ありで28.9±24.6秒,分割なしで100.3±49.5秒(mean±SD)となり,大臼歯に装着されている鋳造ポストは,2分割し2方向から超音波振動を加えることにより短時間で除去することができた.しかし鋳造ポストの分割時に,髄床底部を過度に切削せず安全に分割,除去する方法を検討することが今後の課題であると考えられる.
特定非営利活動法人日本歯科保存学会の論文
2007-10-31

超音波振動を応用した鋳造ポストの除去に関する臨床研究

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