血液瓦斯ヨリ觀タル輪血操作
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概要
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近年輸血ニ關スル研究甚ダ盛ニシテ,輸血ノ治療的効果ノ確認ハ其ノ適應症ノ範圍ヲ著シク擴大セリ.而シテ,現今最モ廣ク行ハレツツアル輸血法術式ハ,直接輸血法並ニ間接輸血法ノニナレドモ,兩者ノ優劣ハ俄ニ斷定スルコト能ハズ.即チ直接輸血法ハ輸入血液ノ生理的ナル最モ理想ナリト雖モ,操作ニ於テ稍難色ヲ認ムルモノニシテ,間接輸血法ハ前者ニ比シ輸入血液ノ生理的ナラザル怨アレドモ,操作簡易ニシテ何等特殊ナル障害ヲ認メズ,然モ充分ノ治療的効果ヲアゲ得ルモノナルヲ以テ,現今最モ廣ク一般的ニ用ヒラレツツアル方法ナリ.間接輸血法ニ於テハ特殊ナル装置ヲ使用スルモノアルモ何レモ大同小異ニシテ,何レモ直接空氣ニ接觸スルモノニシテ,又,時ニコレヲがーぜニテ濾過スルアリ.而シテ,斯カル非生理的操作ハ輸血用血液ニ種々ナル變化ヲ與フベキヲ充分考察セラル.例ヘバ有形成分ノ崩壞,二次的ニ起ル液體成分ノ變化等ナリ.然レドモ,余等ハコノ際殊ニ最キ大ナル影響ヲ受クルモノハ血液瓦斯ナラント想像セリ.即チ本實驗ニ着手セル所以ニシテ,余等ハ家兎血液ニ就キテ,ばーくろふと氏血液瓦斯分析器ヲ使用シ,次ノ如キ成績ヲ得タリ.1)採血(靜脈血)後,血液ヲ容器ニ二度移シ換ヘタル後再ビ注射器ニ吸引セル場合ト,がーぜニテ濾過セル場合ニ於ケル血液瓦斯ノ變化ヲ檢セルニ此ノ兩者ハ略々同様ナル値ヲ示ス.2)酸素不飽和度ハ一般ニ著明ナル減少(平均1.40容%)ヲ示ス.3)酸素容量ハ大ナル變動ヲ認メズ.4)酸素含有量ハ著シキ増加(平均1.53容%)ヲ示ス.5)炭酸瓦斯含有量ハ一般ニ減少(平均3.5容%)ヲ示ス.以上ノ實驗成績ヨリ,間接輸血操作ハ,靜脈血ガ空氣ニ接觸スルコトニヨリテ室氣中ノ酸素ヲ吸收シ從ツテ炭酸瓦斯ヲ失フモノニシテ,コレハ靜脈血ガ動脈血ノ性状ニ傾ケルモノト考ヘラルベシ.然モ,コレヲ生體ニ注入スルモ何等特殊ナル障害ヲ認ムルモノニ非ザルハ勿論ニシテ,血液瓦斯ヨリ體タル間接輸血操作ハ必ズシモ非生理的ナリトハ斷ズル能ハズ.次ニ余等共同研究者ノ一人木ロハ多年「保存血輸血ノ研究」ヲナシ來レルモ,同研究ニ於テ,保存血液瓦斯含有量ノ問題ハ,特ニ輸血用血液ノ機能衰退現象ノ檢索ニ於テ重要ナルモノナリト考ヘ,余等ハ採血後時間的經過中ニ於ケル血液瓦斯ノ清長ニヨリテ檢セリ.即チ加枸櫞酸曹達血液ヲ無菌的ニ3゜-4℃ノ低温ニ保存シ,採血直後ヨリ96時間後迄ニ數回ノ測定ヲ行ヒ次ノ如キ成績ヲ得タリ.1)酸素不飽和度ハ時間ノ經過ト共ニ減少ス.即チ24時間迄ハ急劇ニ減少シ其後ハホボ一定ノ値ヲ保ツ.2)酸素容液ハ終始大ナル變動ヲ示サズ.3)酸素含有量ハ時間ノ經過ト共ニ増加ス.即チ24時間迄ハ急劇ニ増加シ其後ハホボ一定ノ値ヲ示ス.4)炭酸瓦斯含有量ハ24時間迄ハ急劇ニ減少シ其後ノ減少ハ徐々ニシテ著シカラズ.以上ノ實驗成績ハ上述ノ間接輸血操作時ニ於ケル血液瓦斯變化ト同様ナル傾向ヲ示スモノニシテ保存血液ハ時間的經過ニ從ヒ漸次空中ノ酸素ヲ吸收シ,炭酸瓦斯ヲ失フコト明トナレリ.故ニ血液瓦斯ヨリ觀タル保存血輸血モ亦生體ニ著シキ害ヲ及ボスモノニハ非ズ.
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