国有林野における「森林探勝型」レクリエーション事業の展開 : 赤沢自然休養林を事例として
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概要
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本研究は,長野県木曽郡上松町の赤沢自然休養林(以下,赤沢)を事例として,地元地域による管理運営の取組みの現状や問題点を,聞取り調査によって明らかにし,「森林探勝型」レクリエーション事業の今後のあり方を検討することを目的とした。その結果,(1)開園以来,国有林から町側へと赤沢の管理運営の委託が進められ,(2)町側が観光資源として赤沢を主体的に活用できたこと,そして森林環境整備推進協力金等の「財源」が確保できたことにより,その委託は比較的スムーズに行われた。また住民側も,赤沢を「地元の資源」として再認識し,管理の意識を高めた。(3)しかし一方では,周辺地域のゴミ問題や,森林管理を支えてきた元営林署職員の高齢化等,町側のみでは対応するのが困難な管理面での問題が顕在化したことが明らかになった。従って,国有林はただ単に土地管理者の立場に後退するのではなく,地域振興の可能性を広げるという観点からも,積極的にレクエリアの管理運営に携わるべきである。従来の「民営化」路線を基軸とした管理運営の方針からの脱却が必要であろう。
- 林業経済学会の論文
- 2003-07-01
著者
-
野口 俊邦
信州大学農学部
-
大浦 由美
名古屋大学大学院生命農学研究科
-
大浦 由美
和歌山大学経済学部
-
渡邉 宏美
名古屋大学大学院生命農学研究科
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野口 俊邦
信州大学
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大浦 由美
名古屋大学
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大浦 由美
信州大学農学部
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