「流域管理システム」下における国有林請負事業体の展開 : 木曽谷流域を事例として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では,木曽谷流域を事例として,「流域管理システム」下での国有林野事業の展開が地域の請負事業体に与えた影響をアンケート調査等から分析し,「全面請負化」を進める国有林野事業運営を取り巻く諸状況を実態的に明らかにすることを目的とした。その結果,本流域では90年代を通じて国有林経営の大幅な縮小と事業量の減少,資源供給構造の転換等が急激に進んだ。こうした中,国有林は直営に代わる請負事業体育成として,「立木の安定供給システム販売」や最終的に1流域に1協定事業体を目指す「長期協定システム」を推進している。しかし,請負事業体は事業量の減少と競争原理の導入,選別化の強化に伴って既に廃業や事業縮小を迫られているのが実態である。よって,地域林業発展のために,国有林は,官民一体となっての事業量確保や一般材の用途拡大に積極的に取り組むべきである。また,事業縮小と「全面請負化」を内実とする「抜本的改革」路線を根本的に見直し,「国民の森林」に相応しい財政的・組織的措置を講じ,計画的・安定的に事業運営を行う必要があろう。
- 林業経済学会の論文
- 2003-07-01
著者
-
野口 俊邦
信州大学農学部
-
大浦 由美
名古屋大学大学院生命農学研究科
-
大浦 由美
和歌山大学経済学部
-
佐藤 晶子
元信州大学大学院農学研究科
-
野口 俊邦
信州大学
-
大浦 由美
名古屋大学
-
大浦 由美
信州大学農学部
関連論文
- 1990年代以降における都市農山村交流の政策的展開とその方向性(テーマ : 1990年代以降の林政の展開と今後の方向性,2008年春季大会論文)
- 農村レストラン利用客の「食」と「農」に関する意識調査結果 : 和歌山県田辺市「秋津野ガルテン」付設レストラン「みかん畑」を事例に
- 国有林における水源かん養保安林整備の実態と問題点 : 長野県内の請負事業体を事例として
- ネパールにおける参加型林業の拡大と援助プロジェクト間の協調
- 第4報告 国有林における森林レクリエーション事業の展開と対境関係の変化 ((財)林業経済研究所 第4回シンポジウム 国有林の展開方向と国民参加の意義)
- 国有林野における「森林探勝型」レクリエーション事業の展開 : 赤沢自然休養林を事例として
- 「流域管理システム」下における国有林請負事業体の展開 : 木曽谷流域を事例として
- 国有林野における森林レクリエーション事業と地域社会 : 木曽谷地区を事例として
- 戦前期における森林のレクリエーション利用と国有林 : 明治初期における「官有地公園」と官林との関係を中心に
- 国有林野地元利用の今日的状況 : 新潟県六日町営林署管内N共用林野組合を事例として(1996年秋季大会自由論題論文)
- コメント1.現代林政の課題から2点(1995年春季大会)
- 国有林野使用料算定方式の変更に関する一考察(自由論題論文,1994年秋季大会)
- 御岳国有林における森林レクリエーション事業の展開(1992年秋季大会)
- コメント2.日本林業をどう展望しうるのか?(1991年秋季大会)
- 国有林野における森林レクリエ-ション事業の展開
- 和歌山県田辺市龍神村における地域再生方策に関する調査結果 : 宿泊施設のホームページ分析と住民ヒアリング調査をもとに
- バングラデシュの丘陵林とマングローブ林の損失に対して森林経営が演じた役割
- バングラデシュの丘陵林とマングローブ林の損失に対して森林経営が演じた役割
- 国有林野事業における「モデルプロジェクト」に関する一考察 : 宮崎県・綾の照葉樹林プロジェクトを事例として
- 国有林野事業の本質と実体 (国有林特集(その1))
- 特用林産物生産における農家の森林管理の現状と課題 : 中国河北省遷西県の甘栗生産を事例として
- 特別発表 国有林野事業における「ふれあいの森」制度の現状と展望
- マドーポル・サル森林の減少:バングラディシュにおける事例研究
- バングラディシュのサルフォレストにおける参加型林業の費用便益分析
- 小規模森林所有者における農林複合経営の今日的実態 : 長野県下伊那郡売木村を事例として
- 中国における個別農家の林業経営に関する実証的研究 : 中国河北省囲場県T村を事例として
- 農民的林業経営の存立条件に関する実証的研究 : 長野県伊那市を事例として
- 山村問題の展開過程と課題 ((財)林業経済研究所創立60周年記念シンポジウム 日本林業の60年と明日の林業)
- バングラディシュの社会経済的発展における参加型森林管理の影響 : マドプールサル森林における事例研究
- 森林所有者の不在村化と森林管理問題--長野県天龍村を事例として
- 農民的林業経営の変容に関する一考察 : 長野県根羽村を事例として
- 林政・森林管理における国家と自治体の役割(2004年春季大会シンポジウムコメント)
- 戦後林業地代論の展開過程と発展方向
- 解体の岐路に立つ国有林 (特集 国有林・林野行政問題(2))
- JA農産物直売所における来店者の農業・地場農産物に対する意識調査結果 : 大阪府岸和田市JAいずみの「愛彩ランド」を事例に
- 観光ぶどう農園の来園者にみる都市農村交流への関心についての意識調査結果 : 和歌山県伊都郡かつらぎ町御所地区を事例に
- 論文2.戦後国有林野事業の展開と環境問題(環境問題と森林・林業,1996年春季大会)
- Policy Development and Direction of Urban-Rural Interaction after 1990's in Japan
- 米田雅子・(社)日本プロジェクト産業協議会編著, 日本は森林国家です-産業界からのアプローチ-, ぎょうせい, 2011年3月, 235頁, 2,000円
- 「1990年代以降の林政の展開と今後の方向性」討論要旨(2008年林業経済学会春季大会シンポジウム)
- 国有林野事業の本質と実態(国有林特集その1)
- 第4報告 国有林における森林レクリエーション事業の展開と対境関係の変化((財)林業経済研究所第4回シンポジウム「国有林の展開方向と国民参加の意義」)
- 森林所有者の不在村化と森林管理問題 : 長野県天龍村を事例として
- 国有林野における森林レクリエーション事業の展開
- 報告4 山村問題の展開課程と課題(日本林業の60年と明日の林業,(財)林業経済研究所 創立60周年記念シンポジウム)
- 分収育林事業の経済分析(1)
- 分収育林事業の経済分析(2)
- 報告3 国有林野事業「民営化」の新局面(森林法改正と森林・林業の再編,林業経済学会1991年度秋季大会討論要旨)
- 4 現代林政における森林総合利用の意味(森林の総合的利用について(II))
- 野村勇著, 「新外材読本」, 林業新聞社刊, A五判, 四一九頁, 三、八〇〇円