論文2.戦後国有林野事業の展開と環境問題(環境問題と森林・林業,1996年春季大会)
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概要
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戦後国有林野事業は,企業性・経済性,公共性,独占奉仕の3側面をもちつつも,独占と官僚の私物化によって独占奉仕の面が突出し,「改善計画」の下で国有林野事業は解体の危機にさらされている。環境問題としても,高度成長期における森林資源の「収奪的利用」,低成長期の資源の「放棄的利用」,構造調整期の「寄生的利用」の中でますます悪化し,森林被害額だけでも巨額にたっしている。林野庁により2度にわたって試算された「財政再建」の長期見通しは,累積債務の解消策を講し得ないだけでなく,林野・土地の膨大な売払い,リゾート開発等民間資金の導入,受益者負担の強要などが盛り込まれ,「1万人規模」と相まって到底許容できるものではない。公企業としての公共性を発揮させるには,「改善計画」路線からの抜本的転換が必要であるが,その変革のエネルギーとして,営林署所在市町村議会の運動が生まれていることが注目される。
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