腎盂尿管粘膜上皮の病理組織学的研究 : 第2報 : 特に腎盂尿管腫瘍における非腫瘍性病変について

概要

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86例の腎盂尿管腫瘍における腫瘍部および非腫瘍部の粘膜上皮の組織学的変化に対し臨床病理学的検討を加えた.86例中男性は72例,女性は14例であり平均年齢は64.4歳であった.腫瘍部のgradeとstageには相関がみられた.非腫瘍部における組織学的変化としては,dysplasiaが27例(31.4%)に,以下hyperplasia 28例(32.6%),Brunn's nest 19例(22.1%),carcinoma in situ5例(5.8%).squamous metaplasia1例(1.2%)が認められた.dysplasia,hyperplasiaはともにgrade 1,2に比べgrade 3に多くみられた.Brunn's nestとgradeの関連は認めなかった.carcinoma in situはgrade 2に1例,grade 3に4例みられた.dysplasia,hyperplasiaはいずれもstageとの関連を認めなかった.86例全体の1年,3年,5年実測生存率はそれぞれ78.5%,54.2%,47.2%であり,gradeとstageは予後に影響する因子であったがdysplasia,hyperplasiaはいずれも予後に影響する因子ではなかった.続発性膀胱腫瘍発生例はlow grade,low stageに多かったが,dysplasia,hyperplasiaの有無は関連を認めなかった.多発性腫瘍はgrade,stageと関連を認めず,dysplasiaのある症例に多い傾向を認めた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1987-05-20