腎盂尿管粘膜上皮の病理組織学的研究 : 第1報 : 腎結石を有する腎盂粘膜上皮の検討

概要

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腎結石の診断下に手術が施行された63例を対象として,腎盂粘膜上皮の病理組織学的変化について検討した.男性29例,女性34例であり腎摘出術52例,腎部分切除術11例であった.63例中18例(28.6%)は,腎盂粘膜上皮が脱落しており残り45例中正常粘膜と診断されたものは,わずか2例(4.4%)のみであった.23例(51.1%)とほぼ半数に粘膜のatrophyを認め,squamous metaplasiaは11例(24.4%,男性7例,女性4例)に,hyperplasiaは8例(17.8%,男性3例,女性5例)に, dysplasiaは4例(8.9%,男性2例,女性2例)に認められた.Brunn's nestは1例(2.2%,男性1例)にのみ認められた.腎盂腫瘍は3例(6.7%,全例男性)にみられ,2例は移行上皮癌でありそれぞれgradel,stage Iとgrade2,stage IIIであった.残りの1例はsquamous metaplasiaを伴ったsquamous cell carcinoma, stage IIIであった.我々の得た結果は,腎結石患者における腎盂粘膜の病理組織学的変化は,癌発生の可能性を無視しうるものではなく腎結石術後のfollow upの必要性を示唆するものと考える.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1987-05-20