持続的畜産のための草地管理に関する諸課題(<特集>安全安心な畜産物生産を目指した土地利用型畜産の方向(2))

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我が国の近年の畜産業は、生産コストの低減や効率化を最優先し環境に配慮した視点を等閑にして発展してきた結果、輸入加工型の畜産体系が大勢を占めるようになった。特に草食家畜の飼養において輸入加工型の畜産体系は、口蹄疫やBSE等家畜疾病の発生、海外から侵入した強害雑草の蔓延、過剰な家畜糞尿に起因する深刻な環境問題等が発生する要因となっている。また将来予測されている、世界人口の増加や発展途上国の経済発展にともなう国際的な穀物消費量の増大、家畜糞尿が還元されない飼料輸出国における生産の持続性低下、および異常気象による急激な飼料生産量の減少など、飼料安定輸入の不確定要素に我が国の畜産は今後対応していく必要に迫られている。したがって、将来にわたり安全安心な畜産物を生産し供給し続けるためには、輸入に頼らない地域内の生態系と調和した持続的な土地利用型畜産体系へ転換していくことが必須であろう。本報では、生態系との調和の観点から「適切な物質循環の考慮」と「雑草害虫等の生物種の制御」を中心に、持続的な畜産のために主として草地（本報では飼料畑を除いた牧草地や野草地を示す）の造成維持管理について、今後必要と考えられる技術開発に関する諸課題を中心に論じてみたい。
2008-04-15

持続的畜産のための草地管理に関する諸課題(<特集>安全安心な畜産物生産を目指した土地利用型畜産の方向(2))

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