不妊治療を受ける患者に対する支援のあり方に関する研究第1報

概要

論文の詳細を見る
目的:本研究の目的は,不妊患者の治療や生活の実態を調べ,その人達に今後どのような支援を行うべきかを明らかにすることである。方法:都内の大学病院,民間・公立病院,クリニックの合計16施設で,不妊治療中の患者840名を対象としてアンケート調査を行った。調査は平成17年4月〜平成18年3月にかけて実施した。有効回答数は441(回収率52.5%)であった。結果:85%の患者が不妊治療をはじめてから特別なストレスを感じていると答えていた。その理由として最も回答が多かったのは,「成功率を考えると子どもをもつことができるかどうか不安」67.6%であり,「治療に時間がかかる」53.7%,「経済的問題」48.1%が次に続いた。今後望むことで多かったのは,「治療費のなんらかの援助」85.7%,「成功率の向上」80.5%であり,「不妊治療に関する情報提供」「女性の仕事と妊娠・出産などの家庭との両立がしやすい社会作り」も61.2%と多かった。また,55.3%の人が「カウセリングなどの相談体制の充実」を希望していた。結論:以上のことから,不妊治療を受ける患者の支援として行政がやるべきことは,治療費の補助,情報の提供,カウンセリングの充実であることが示された。