両生類の2系統の嗅覚系における系統発生学的側面
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概要
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両生類の2系統の嗅覚系に関する系統発生学的意義について,主として我々の電顕ならびにレクチン組織化学的所見に基づいて概説した.2系統の嗅覚系はこれら全ての両生類に存在し,嗅上皮から主嗅球,および鋤鼻上皮から副嗅球への投射によって成立していたが,その詳細はそれぞれ異なっていた.アフリカツメガエルでは嗅上皮から主嗅球背側部,中憩室上皮から主嗅球腹側部,鋤鼻上皮から副嗅球に至る投射が見られ,主嗅球への投射は中憩室上皮の存在により2つに細分されていた.この中憩室上皮は一般的な線毛嗅細胞の他に微絨毛嗅細胞を有し,魚類の原始的な嗅上皮を思い起こさせた.ヒキガエルにおいて副嗅球が吻側部と尾側部に分かれていたことはヒキガエルの嗅覚系における進化的側面を反映しているものと考えられた.アカハライモリでは主嗅球にも副嗅球にもこのような細分化は見られず,この動物種の原始的な系統発生学的段階を反映しているものと思われた.我々のレクチン組織化学的所見により両生類の2系統の嗅覚系にそれぞれ細分化が見出されたことは,嗅覚投射路の構成と機能に関して複合糖質が系統発生学的に深く関与していることを推測させた.
- 2008-01-25
著者
-
谷口 和之
岩手大学農学部獣医学科基礎獣医学講座
-
及川 寿浩
鳥居薬品株式会社
-
斎藤 正一郎
愛媛大学医学部解剖学第一講座
-
谷口 和美
北里大学獣医畜産学部獣医解剖学講座
-
谷口 和之
岩手大学農学部基礎獣医学講座
-
谷口 和美
北里大学獣医学部獣医解剖学研究室
-
谷口 和美
北里大学 獣医解剖
-
斉藤 正一郎
岐阜大学応用生物科学部獣医解剖学教室
-
谷口 和之
岩手大学農学部獣医解剖学教室
-
及川 寿浩
鳥居薬品株式会社医薬情報部
-
谷口 和之
岩手大学農学部
-
谷口 和美
北里大学獣医学部
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