サイレージの乾物含量並びに飼料価値の評価に関する研究 : III.栄養価を適正に査定するための試料乾燥法

概要

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サイレージの分析試料の調製及び乾物定量の過程における乾燥方法並びに乾燥条件と,その分析結果に基づいて査定される栄養価値との関係を調査し,より適正な試料乾燥法について検討した。ギ酸及びブドウ糖の添加処理によって調製した品質並びに性質の異なるサイレージを供用し,羊による消化試験を実施した。いっぽう,給与サイレージの分析試料の調製・乾物定量における乾燥方法並びに乾燥条件を,それぞれ,凍結乾燥・真空乾燥(FV法),60℃加熱乾燥・105℃加熱乾燥(LO法),100℃加熱乾燥・105℃加熱乾燥(HO法)の3種とし,各試料について常法による飼料成分の化学分析をおこなった。各分析値に基づいて消化率,栄養価を求めて比較検討した。また,各方法による乾燥試料の人工消化率についても比較した。各方法によって求めた化学組成の分析値は,方法によって変動し,乾物,粗蛋白質,粗脂肪及びNFEの値はFV法で最も高く,HO法で最も低くなった。各方法に基づいて算出した消化率の値も,粗繊維のそれを除き,FV法による値が最も高く,続いてLO法による値で,HO法による値が最も低くなり,方法間に有意差が認められた。DCP及びTDNの値も同様の傾向を示し,方法間に有意差があった。また,乾物並びに粗蛋白質人工消化率の値も動物実験による各方法の消化率と同様の傾向を示した。本実験結果から,従来の加熱乾燥法に基づく分析方法では,サイレージの成分,消化率,栄養価を過小に評価する可能性が高いこと,凍結乾燥・真空乾燥の適用は,より適正に栄養価を評価するために有効であることが確認された。
日本草地学会の論文

著者

内田仙二
岡山大学農学部

サイレージの乾物含量並びに飼料価値の評価に関する研究 : III.栄養価を適正に査定するための試料乾燥法

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