サイレージの乾物含量並びに飼料価値の評価に関する研究 : I.加熱乾燥による揮発性成分の揮発と乾物の損失

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加熱乾燥に伴なう揮発性成分の揮発と,それによって生ずる乾物の定量誤差を明らかにするための基礎研究として,乾燥蒸留法による2種類の実験を実施した。実験I:27点のイタリアンライグラスサイレージを供試し,発酵的品質並びに揮発性成分を調査するとともに,乾燥蒸留装置により,100℃,16時間の乾燥条件で乾燥蒸留実験を実施し,各成分の揮発率及びそれらに基づく乾物の揮発率などについて検討した。乾燥蒸留の結果より,各成分の平均揮発率(%)は,総VFA 73.5,酢酸70.3,プロピオン酸64.4,i-酪酸40.0,n-酪酸80.4,アンモニア20.7,そしてエタノールのそれは67.3であった。乳酸においても平均2.1%の揮発が認められた。これらの揮発率は,サイレージの発酵的品質などによって影響されることが知られた。各成分の揮発に基づく乾物揮発率の平均値は3.56%であり,揮発率の値と品質評点並びに乾物含量との間に有意な負の相関が認められた。実験II:2点の中品質グラスサイレージを供試し,乾燥温度100℃で8,16及び24時間の各条件,並びに乾燥時間16時間で60,80,100及び110℃の各条件で,それぞれ乾燥蒸留実験を実施し,異なった乾燥条件における揮発性成分の揮発率を測定した。各成分の揮発率は一般に乾燥時間の進行並びに温度の上昇に伴なって上昇する傾向にあったが,乾燥条件の変動に従ってそれぞれ特異的な変化のパターンを示すことも認められた。両実験の結果から,加熱乾燥によってサイレージの乾物を定量する場合,揮発性成分の揮発損失により誤差を生ずること,そしてその誤差の程度は,サイレージの品質や乾燥条件によって左右されることが確認された。
日本草地学会の論文
1985-07-30

サイレージの乾物含量並びに飼料価値の評価に関する研究 : I.加熱乾燥による揮発性成分の揮発と乾物の損失

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