チモシー斑点病菌の産生するフレイクロームとチモシー葉身および葉面フロラに及ぼすその毒作用
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概要
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チモシー斑点病は冷涼多湿で寡照な気象条件の北海道東部に多発する病害で,病原菌Cladosporium phlei DE VRIESはチモシーのみに寄生する。本菌の培養ろ液から病徴発現に関与する毒素の抽出を試みた結果,エチルエーテル画分から活性を示す赤色物質を単離し,フレイクローム(phleichrome)と同定した。フレイクロームは10^<-4>M以上の濃度でチモシー葉に病斑類似の症状を発現した。斑点病に対し抵抗性と感受性のチモシー栄養系を供試し,フレイクロームに対する反応を比較したところ症状は感受性程度とはほとんど関係なく発現した。したがって,フレイクロームは宿主特異的毒素ではなく,恐らくは二次的毒素であろうと推定される。フレイクロームの産生量は暗黒条件下では培養日数とともに増加し続けたが,光照射条件下では10-15日に最大となりその後減少した。フレイクロームはチモシーの葉面フロラを構成するある種の細菌や糸状菌の生育を光照射,とくに紫外部の光照射条件下で抑制した。このことから本物質は微生物を抑制する光感作用を有することが明らかである。したがって,チモシー斑点病の発生条件と結びつけて考察すると,フレイクロームの光感作用は斑点病菌の葉面付着から侵入に至る過程で本菌にとって有利に作用していることが示唆される。
- 日本草地学会の論文
- 1983-01-28
著者
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