北海道および東北地方から収集したアルファルファ永年生存株の特性と育種的意義
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概要
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北海道および東北地方のアルファルファ栽培地帯の永年生存株の特性と,その後代の生産力を明らかにしてアルファルファ育種の指針とする目的で調査した。材料は1969〜1971年に北海道および東北地方の古い草地60箇所から収集した1953株を個体植にして,草型,花色,開花期,春の草勢および秋の草勢を調査した。また1972〜1974年に道央・道南収集株の後代の生産力検定を行った。さらにこの後代検定の結果優良と認められた4系統を1973〜1975年に個体群養成して27個体を選抜し,1976〜1978年にこれらの後代の生産力検定を行った。道東収集株の草型は著しく開張型化していて,紫色花割合は低く,開花期もかなり遅くて,春,秋の草勢も低かった。東北収集株は少なくとも開張型化の傾向は認められず,紫色花割合も高くて,開花期も早く,春,秋の草勢が高かった。道北および道央・道南収集株の特性はほぼ道東収集株と東北収集株の中間の特性を示したが,道北収集株の開花期だけはとくに遅かった。草型はいずれの形質とも有意な相関を示し,収集株の直立型割合が高いと紫色花割合も高くて開花期が早く,しかも春と秋の草勢もともに高い傾向にあった。収集株の後代の3ヵ年合計収量は「Du Puits」に対して97.5〜107.5%,平均は102.1%で「Du Puits」よりやや多収を示した。さらに優良系統の選抜個体の後代の収量は,「Du Puits」に対して86.9〜117.7%,平均は102.1%で変異は広がったが平均値は変らなかった。以上の結果は,北海道の草地で永年生存していた収集株が開張型化していたことを示すもので,道東ないしは道北の内陸部で適応品種を選定したり育種する場合にこの点を考慮する必要があることを示唆していた。
- 日本草地学会の論文
- 1980-07-31
著者
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